公正証書遺言と自筆証書遺言、どちらを選ぶべきか悩んでいませんか。広島にお住まいの60代の方から、このご相談を多くいただきます。本記事では、両者の違いと60代の方に最適な選び方を、行政書士が分かりやすく解説します。
遺言書の作成は、ご自身の財産と家族の未来を守る大切な手続きです。しかし、形式を誤ると無効になるリスクもあります。そのため、適切な選択が重要となります。
公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

まず、両者の基本的な違いを確認しましょう。遺言書には主に2つの形式があります。それぞれメリットとデメリットが異なります。
| 項目 | 公正証書遺言 | 自筆証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成者 | 公証人 | 本人 |
| 証人 | 2名必要 | 不要 |
| 費用 | 財産額に応じた手数料 | 原則無料 |
| 保管場所 | 公証役場 | 自宅または法務局 |
| 家庭裁判所の検認 | 不要 | 必要(法務局保管制度利用時を除く) |
| 無効リスク | 極めて低い | 形式不備のリスクあり |
公正証書遺言の特徴
公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。公証役場で証人2名の立会いのもと作成します。原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。
また、家庭裁判所の検認手続きが不要です。そのため、相続発生後の手続きがスムーズに進みます。公正証書遺言の詳細は日本公証人連合会のホームページでも確認できます。
自筆証書遺言の特徴
一方、自筆証書遺言は本人が全文・日付・氏名を自書し、押印する遺言書です。財産目録についてはパソコンでの作成も認められています。費用がかからず、いつでも作成できる手軽さが魅力です。
ただし、形式不備による無効のリスクがあります。さらに、自宅保管の場合は紛失や改ざんの危険も伴います。なお、令和2年7月から開始された法務局による自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、これらのリスクは軽減されます。
60代の方に公正証書遺言をおすすめする理由
結論として、60代の広島の方には公正証書遺言をおすすめします。その理由を具体的に解説します。
理由1:確実性が高い公正証書遺言
公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が作成します。そのため、形式不備で無効になるリスクが極めて低いです。60代から70代、80代と長期にわたって有効な遺言書を残せます。
理由2:遺族の手続き負担を軽減
公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です。つまり、ご家族が相続手続きをスムーズに進められます。検認手続きには通常1〜2か月程度かかる場合があるため、この差は大きいでしょう。
理由3:認知症リスクへの備え
60代は健康なうちに遺言を残せる適齢期です。しかし、年齢を重ねると認知機能の低下リスクも考慮する必要があります。公正証書遺言は公証人が遺言能力を確認するため、後から「遺言能力がなかった」と争われにくくなります。
公正証書遺言の作成手順と広島の公証役場
公正証書遺言の作成の流れ
- 遺言内容の検討(財産の整理・相続人の確認)
- 必要書類の準備
- 証人2名の手配
- 公証役場との事前打ち合わせ
- 公証役場で公正証書遺言の作成
公正証書遺言の必要書類
- 遺言者の印鑑証明書(発行から3か月以内)
- 遺言者と相続人の関係がわかる戸籍謄本
- 受遺者の住民票(相続人以外に遺贈する場合)
- 財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預貯金通帳等)
- 証人2名の身分証明書
広島県内の公証役場
広島県内には複数の公証役場があります。主な公証役場として、広島合同公証役場、福山公証役場、呉公証役場、尾道公証役場、三次公証役場などが挙げられます。お住まいの地域や交通の便を考慮して選びましょう。なお、体調の都合で公証役場に行けない場合は、公証人に自宅や病院へ出張してもらうことも可能です。
公正証書遺言の費用(現行の手数料体系)
公正証書遺言の手数料は、公証人手数料令(政令)に基づき定められています。ここで最も重要なポイントがあります。手数料は「財産総額」ではなく、相続人・受遺者ごとに、その人が取得する財産の価額に対して個別に算定し、合算する仕組みです。
公正証書遺言の基本手数料表
| 取得する財産の価額 | 手数料 |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 200万円以下 | 7,000円 |
| 500万円以下 | 11,000円 |
| 1,000万円以下 | 17,000円 |
| 3,000万円以下 | 23,000円 |
| 5,000万円以下 | 29,000円 |
| 1億円以下 | 43,000円 |
公正証書遺言の手数料計算の具体例
具体的に計算してみましょう。例えば、3,000万円の財産をお子さま3人に1,000万円ずつ均等に相続させる場合を考えます。この場合、1,000万円以下の手数料17,000円が3人分かかります。
つまり、17,000円×3人=51,000円が基本手数料となります。決して「3,000万円→23,000円」ではない点に注意が必要です。受遺者の人数が増えるほど、基本手数料も増える仕組みです。
公正証書遺言の追加費用
さらに、基本手数料に加えて以下の費用が必要となります。実費込みの総額は、基本手数料より数千円から1万円程度上乗せになることが多いです。
- 遺言加算:財産総額が1億円以下の場合、11,000円が加算される
- 正本・謄本の作成料:1枚250円(枚数分)
- 用紙代などの実費
- 公証人の出張を依頼する場合は、日当・交通費・手数料の1.5倍加算
詳細な手数料体系については日本公証人連合会の公式サイトをご確認ください。なお、正確な見積もりは事前に公証役場へ問い合わせることをおすすめします。
自筆証書遺言を選ぶ場合の注意点
とはいえ、費用を抑えたい方や、まずは試しに作成したい方は自筆証書遺言を選ぶケースもあります。その場合の注意点を確認しましょう。
- 全文を自書する(財産目録を除く)
- 作成日付を正確に記載する
- 氏名を自書し押印する
- 訂正方法は法律で定められた方式に従う
- 法務局の自筆証書遺言書保管制度の利用を検討する
自筆証書遺言書保管制度については法務省の公式サイトで詳細を確認できます。広島法務局でもこの制度を利用可能です。
遺言書作成と相続手続きは専門家へ
遺言書作成は、財産の内容や家族構成によって最適な内容が異なります。特に60代の方は、これからの人生設計と相続対策を一体で考える必要があります。そのため、専門家への相談をおすすめします。
当事務所では、遺言書作成から相続手続きまで一貫してサポートいたします。広島県内にお住まいの方は、お気軽にご相談ください。