広島で働くベトナム人の方で、永住権の取得を考えている方は多いのではないでしょうか。永住権を取得できれば、在留資格の更新手続きから解放され、日本で安定した生活を送ることができます。しかし、永住権申請には厳しい条件があり、必要書類も多岐にわたります。

この記事では、広島在住のベトナム人が永住権を取得するための条件、必要書類、申請時の注意点について、入管業務を専門とする行政書士が詳しく解説します。永住権申請を成功させるために、ぜひ最後までお読みください。

ベトナム人が広島で永住権を取得するための基本条件

永住権の申請するベトナム人

広島在住のベトナム人の方が永住権を取得するには、出入国在留管理庁が定める厳格な条件をクリアする必要があります。永住許可申請は日本で最も審査が厳しい在留資格変更のひとつです。

原則10年以上の在留期間が必要

まず、日本に引き続き10年以上在留していることが原則です。このうち、就労ビザまたは居住ビザで5年以上の在留が求められます。技能実習ビザや特定技能1号ビザでの在留期間は、この5年間にカウントされない点に注意が必要です。

例えば、技能実習で3年間、その後技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国ビザ)で7年間在留している場合、合計10年間の在留期間があっても、就労ビザとしてカウントされるのは7年間のみとなります。そのため、実際には10年以上の在留が必要になるケースが多いです。

現在の在留資格で最長期間を取得していること

永住申請時には、現在持っている在留資格について、最長の在留期間(通常は3年または5年)を許可されていることが条件です。例えば、技人国ビザで1年の在留期間しか持っていない場合は、まず3年または5年の在留期間を取得してから永住申請を行う必要があります。

ただし、在留期間「3年」を持つ場合、最長の在留期間として扱われることがあります。

素行が善良であること

法律を遵守し、社会的に非難されることのない生活を営んでいることが求められます。具体的には、以下の点が審査されます。

  • 犯罪歴がないこと(罰金刑や拘禁刑を受けていないこと)
  • 交通違反が少ないこと(軽微な違反でも複数回あると不利)
  • 納税義務を果たしていること
  • 年金・健康保険料を適切に納付していること
  • 入管法上の届出義務を履行していること

特に納税や社会保険料の未納・滞納は、永住申請において大きなマイナス要因となります。申請前には必ず過去5年分の納付状況を確認しましょう。

広島在住ベトナム人の永住権申請で重要な年収条件

永住権申請では「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」という条件があります。これが、いわゆる年収要件です。広島で働くベトナム人の方にとって、この年収条件は特に重要なポイントとなります。

年収300万円以上が基本的な目安

永住許可申請における年収基準は法律で明確に定められているわけではありませんが、実務上は年収300万円以上が基本的な目安とされています。さらに、扶養家族がいる場合は、1人あたり70万円〜80万円が加算されます。

世帯構成年収の目安
単身者(独身)300万円以上
本人+配偶者370万円〜380万円以上
本人+配偶者+子1人440万円〜460万円以上
本人+配偶者+子2人510万円〜540万円以上

継続的な収入の安定性が重視される

単に申請時点で年収条件を満たしているだけでは不十分です。過去5年間にわたって安定した収入があることが求められます。転職を繰り返している場合や、年収が大きく変動している場合は、審査においてマイナス評価となる可能性があります。

したがって、正社員として同じ会社で継続的に勤務し、安定した給与を得ていることが理想的です。派遣社員や契約社員の場合でも永住申請は可能ですが、雇用の安定性という観点から、正社員に比べて審査が厳しくなる傾向があります。

配偶者の収入も合算可能

なお、配偶者が日本人または永住者の場合、世帯全体の収入で判断されます。例えば、申請人本人の年収が200万円でも、配偶者の年収が200万円あれば、合計400万円として評価されるケースもあります。

配偶者ビザから永住申請を検討している方は、こちらの記事もご参照ください

ベトナム人の永住権申請で必要となる書類一覧

永住権に必要な書類

永住許可申請では、非常に多くの書類提出が求められます。広島入国管理局(広島出入国在留管理局)に申請する際も、以下の書類を漏れなく準備する必要があります。

基本書類

  • 永住許可申請書(入管指定の様式)
  • 写真(縦4cm×横3cm)1枚
  • パスポート及び在留カード(原本提示)
  • 理由書(なぜ永住許可を希望するのかを説明)
  • 身元保証書(日本人、永住者、特別永住者による保証)

身分関係を証明する書類

  • 本国の結婚証明書(配偶者がいる場合)
  • 出生証明書(子どもがいる場合)
  • 申請人を含む家族全員の住民票

ベトナムから取り寄せる証明書については、日本語翻訳が必要です。翻訳は申請人本人が行っても構いませんが、専門家に依頼することをおすすめします。

収入・資産を証明する書類

  • 直近5年分の住民税の課税証明書及び納税証明書
  • 直近5年分の所得税の納税証明書(その1、その2)
  • 在職証明書
  • 預貯金通帳のコピー(残高証明書でも可)
  • 不動産登記簿謄本(不動産を所有している場合)

課税証明書と納税証明書は、広島市役所または各区役所、町役場で取得できます。過去5年分が必要なので、早めに準備を始めることが重要です。
通常は直近5年分の課税証明書・納税証明書が必要ですが、高度人材ポイント制を利用する場合は直近3年分または1年分となることもあります。

年金・健康保険関係の書類

  • 直近2年分の国民年金保険料または厚生年金保険料の領収書のコピー
  • ねんきん定期便または年金加入期間確認通知書
  • 国民健康保険料または社会保険料の納付証明書

年金や健康保険の未納期間がある場合、それだけで不許可となる可能性が高まります。未納がある方は、申請前に必ず納付を完了させてください。※年金・健康保険の納付状況(直近2年分の領収書を添付、過去5年分の未納がないことが必要)

身元保証人の書類

  • 身元保証人の住民票
  • 身元保証人の課税証明書及び納税証明書
  • 身元保証人の在職証明書または営業許可証のコピー

身元保証人は、日本人、永住者、または特別永住者である必要があります。身元保証人には法的責任はありませんが、入管は身元保証人の収入や納税状況も確認します。

広島入国管理局での永住権申請手続きの流れ

実際に広島で永住権を申請する際の手続きの流れを説明します。広島出入国在留管理局は、広島市中区上八丁堀2-31にあります。

申請書類の準備(1〜2ヶ月)

まず、上記で説明したすべての必要書類を収集します。市役所での証明書取得、ベトナムからの書類取り寄せなど、想像以上に時間がかかることがあります。余裕を持って2ヶ月前から準備を始めることをおすすめします。

広島入管への申請

書類がすべて揃ったら、広島出入国在留管理局に申請に行きます。受付時間は平日の午前9時から12時、午後1時から4時までです。混雑状況によっては待ち時間が長くなることもあるため、時間に余裕を持って訪問しましょう。

申請時には、在留カードとパスポートの原本提示が必要です。また、申請人本人が出頭することが原則ですが、行政書士などの専門家に依頼すれば、代理申請も可能です。

審査期間(4〜6ヶ月)

永住許可申請の審査期間は通常4〜6ヶ月以上かかることがありますが(個別の状況により変動します)、実際にはそれ以上かかるケースも少なくありません。審査中に追加書類の提出を求められることもあります。その場合は速やかに対応することが重要です。

なお、永住申請中に現在の在留期間が満了する場合は、別途在留期間更新許可申請を行う必要があります。永住申請と更新申請は別の手続きですので、忘れずに更新申請も行いましょう。

結果通知と許可後の手続き

審査が完了すると、ハガキで結果通知が届きます。許可の場合は、入管で在留カードの交付を受けます。このとき、手数料として8,000円(収入印紙)が必要です。

不許可の場合でも、理由を確認し、改善点をクリアすれば再申請が可能です。ただし、不許可理由によっては一定期間を置いてからの再申請が望ましい場合もあります。

ベトナム人が永住権申請で失敗しないための注意点

広島でベトナム人の永住権申請をサポートしてきた経験から、失敗しやすいポイントをお伝えします。

技能実習期間は就労期間にカウントされない

技能実習ビザで日本に滞在していた期間は、永住権の要件である「就労資格で5年以上在留」にカウントされません。このため、技能実習から特定技能や技人国ビザに変更した方は、ビザ変更後から5年以上経過していることを確認してください。

納税・社会保険料の未納は致命的

たとえ1ヶ月でも納税や社会保険料の未納があると、永住申請は非常に厳しくなります。特に、納付期限内に納めていなかった場合、たとえ後から納付しても審査ではマイナス評価となります。申請前には必ず過去5年間の納付状況を確認し、未納があれば速やかに納付してください。

転職のタイミングに注意

転職直後の永住申請は避けた方が無難です。新しい職場での勤務実績がない状態では、収入の安定性を証明することが難しくなります。最低でも転職後6ヶ月、できれば1年以上経過してから申請することをおすすめします。

交通違反も審査対象

素行要件の審査では、交通違反の履歴もチェックされます。駐車違反や速度超過などの軽微な違反でも、複数回あると不利になります。永住申請を考えている方は、日頃から交通ルールを守ることを心がけましょう。

帰化申請と永住権申請の違い

ベトナム人の方からよく質問されるのが、「帰化と永住権のどちらを選ぶべきか」という点です。両者には大きな違いがあります。

永住権は、ベトナム国籍を保持したまま日本に永住できる資格です。一方、帰化は日本国籍を取得することを意味し、ベトナム国籍を失うことになります。

永住権のメリットは、母国の国籍を維持できる点です。ただし、在留カードの更新(原則7年ごと、16歳未満の場合は満16歳になるまでの期間)や再入国許可の取得が必要です。帰化した場合は、選挙権が得られ、日本のパスポートで自由に海外旅行ができます。

帰化申請について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください

広島のベトナム人コミュニティと永住権

広島県には約16,000人以上のベトナム人が在留しており、中国、韓国に次いで3番目に多い国籍です。広島市内だけでなく、福山市、東広島市などにも多くのベトナム人が暮らしています。

製造業、建設業、介護業などで働くベトナム人が増えており、今後も永住権を取得して広島に定着する方が増えることが予想されます。永住権を取得することで、転職の自由度が高まり、より安定した生活基盤を築くことができます。

永住許可申請についてさらに詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください

永住権申請は専門家に相談するのがおすすめ

永住許可申請は、日本の在留資格申請の中で最も複雑で、準備すべき書類も膨大です。一つでも書類に不備があったり、説明が不十分だったりすると、不許可となるリスクがあります。

特に、年収が基準ギリギリの場合や、転職歴がある場合、過去に納税の遅延があった場合などは、慎重な申請書類の作成が必要です。このような場合は、入管業務に精通した行政書士に相談することを強くおすすめします。

行政書士に依頼するメリット

  • 必要書類の正確な選定と準備サポート
  • 理由書や経緯書の専門的な作成
  • 不利な事情がある場合の対応策の提案
  • 申請から許可までのフォロー
  • 不許可の場合の再申請サポート

広島で永住権申請をお考えのベトナム人の方は、まずは専門家に相談し、ご自身の状況で永住許可が取得できる見込みがあるかを確認することから始めましょう。

まとめ:ベトナム人が広島で永住権を取得するために

広島在住のベトナム人が永住権を取得するためには、10年以上の在留期間、年収300万円以上の安定した収入、納税・社会保険料の適切な納付など、厳しい条件をクリアする必要があります。

申請に必要な書類は多岐にわたり、準備には相当な時間と労力がかかります。しかし、永住権を取得できれば、在留資格の更新から解放され、日本で安定した生活を送ることができます。

永住権申請をお考えの方は、早めに準備を始め、必要に応じて専門家のサポートを受けることをおすすめします。

広島でベトナム人の永住権申請をサポートします

当事務所では、広島在住のベトナム人の方の永住許可申請を数多くサポートしてきた実績があります。永住権取得をお考えの方、ご自身の状況で永住権が取れるか不安な方は、まずはお気軽にご相談ください。

初回相談は無料で承っております。永住権申請の条件、必要書類、申請のタイミングなど、お客様の状況に合わせて丁寧にご説明いたします。(登録申請中4月開業予定)

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