永住許可に日本語能力が新たな要件に

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「永住許可を申請したいけれど、日本語能力の要件が追加されると聞いて不安…」。そのようなお悩みを抱えている方は少なくありません。実際に、政府は令和9年度(2027年度)にも永住許可の要件に日本語能力を追加する方向で検討を進めています。

この記事では、永住許可と日本語能力に関する最新動向をお伝えします。さらに、今からできる具体的な準備方法も行政書士の視点で解説いたします。


永住許可の現行要件を確認しよう

まずは、現在の永住許可の要件を整理しましょう。出入国在留管理庁が公表している永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)によると、大きく3つの要件が定められています。

永住許可に必要な3つの基本要件

要件内容
素行善良要件法律を遵守し、社会的に非難されない生活を送っていること
生計要件独立して生計を営める資産または技能を有すること
国益要件日本国の利益に合致すると認められること

特に国益要件では、以下の条件が求められる傾向があります。

  • 原則として引き続き10年以上日本に在留していること
  • そのうち就労資格または居住資格で5年以上在留していること
  • 罰金刑や拘禁刑を受けていないこと
  • 公的義務(納税・年金・医療保険料)を適正に履行していること
  • 最長の在留期間をもって在留していること

なお、令和8年(2026年)2月24日の改訂では、経過措置として「令和9年3月31日までは在留期間3年を最長の在留期間として取り扱う」とされています。したがって、永住申請を検討中の方は早めの対応が重要です。

永住許可の詳細については、当事務所の永住許可ページもあわせてご確認ください。


永住許可に日本語能力が追加される背景

では、なぜ永住許可の要件に日本語能力が追加される動きがあるのでしょうか。その背景には、いくつかの社会的な要因が考えられます。

地域社会との共生を促す目的

政府が日本語能力要件の追加を検討している最大の理由は、外国人と地域社会との共生を促すためと考えられます。実際に、日本に長期間在留する外国人が増加しています。一方で、日本語でのコミュニケーションが困難なケースも報告されています。

そのため、永住を希望する外国人に一定の日本語能力を求めることで、地域住民との円滑な交流を促進する狙いがあると見られます。

他の在留資格でも日本語能力要件が拡大

加えて、すでに他の在留資格では日本語能力要件の導入が進んでいます。例えば、在留資格「経営・管理」では、令和7年(2025年)10月16日施行の改正により、申請者または常勤職員にB2相当以上(JLPT N2以上)の日本語能力が求められることになりました。

こうした流れを踏まえると、永住許可にも同様の要件が導入される可能性は高いと言えるでしょう。


2027年からの永住許可の日本語能力要件はどうなるか

令和9年度(2027年度)の導入が検討されている日本語能力要件について、現時点で分かっていることを整理します。

永住許可の日本語能力に関する現在の状況

現時点(令和8年4月)では、永住許可の法定要件に日本語能力は含まれていません。しかし、以下の方針が報じられています。

  • 政府は永住許可要件に「一定程度の日本語能力」を追加する方向で検討中
  • 永住許可取消制度が始まる令和9年(2027年)4月を目標に導入が進められている見込み
  • 具体的な日本語レベルや試験の種類はまだ確定していない

予想される日本語能力の具体的レベル

具体的にどの程度のレベルが求められるかは正式発表されていません。ただし、以下の点から推測することは可能です。

在留資格日本語要件参考レベル
特定技能1号基本的な日本語能力JLPT N4相当
特定技能2号今後N3が検討される可能性JLPT N3相当
経営・管理(令和7年10月施行)B2相当以上JLPT N2以上
永住許可(検討中)未確定N3〜N2程度の可能性

経営・管理ビザではN2以上が求められています。一方で、永住許可は幅広い在留資格からの申請があります。このため、N3〜N2程度の水準が設定される可能性があるとの見方が専門家の間で出ています。


永住申請に向けた日本語能力の準備方法

日本語能力の要件化に備えて、今からできる準備を具体的にご紹介します。

日本語能力試験(JLPT)の受験を検討する

最も確実な準備方法は、JLPTの受験です。現時点で要件が確定していなくても、N2以上の取得を目指しておくと安心でしょう。

JLPTの各レベル概要:

レベル目安
N1幅広い場面で使われる日本語を理解できる
N2日常的な場面に加え、幅広い場面の日本語を理解できる
N3日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できる
N4基本的な日本語を理解できる
N5基本的な日本語をある程度理解できる

特にN2は、経営・管理ビザでも求められる水準です。そのため、永住許可でも同程度が求められる可能性を考慮して準備することをおすすめします。

BJTビジネス日本語能力テストも選択肢に

JLPTだけでなく、BJTビジネス日本語能力テストも有力な選択肢となる可能性があります。経営・管理ビザでは、BJT400点以上がN2相当として認められています。ビジネスの場面で日本語を使う方は、こちらの受験も検討してみてはいかがでしょうか。

日本語能力以外の代替手段も確認

経営・管理ビザの改正では、試験以外にも以下の方法で日本語能力を証明できるとされています。

  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等の高等教育機関を卒業していること
  • 日本の義務教育を修了し高等学校を卒業していること

永住許可でも同様の代替手段が設けられる可能性があります。ご自身の経歴を整理しておくことが大切です。


永住許可の厳格化で変わるその他のポイント

日本語能力の追加以外にも、永住許可に関していくつかの変更が検討されています。

収入基準の設定

これまで永住許可には明確な収入基準が設けられていませんでした。しかし、具体的な収入基準を新たに設定する方向で調整が進んでいると報じられています。このため、安定した収入を示す書類の準備がより重要になると考えられます。

永住許可取消制度の開始

令和6年(2024年)の入管法改正により、永住許可の取消制度が導入されました。この制度は令和9年(2027年)4月から施行される見込みです。具体的には、社会保険料の未納や届出義務の不履行があった場合、永住許可が取り消される可能性があります。

したがって、永住許可を取得した後も、公的義務を適正に履行し続けることが求められます。

帰化申請の要件も厳格化の方向

あわせて、帰化申請(日本国籍取得)についても居住要件が「5年以上」から「原則10年以上」に引き上げられる方向で検討が進んでいます。帰化をお考えの方は、当事務所の帰化申請ページもご参照ください。


永住許可の日本語能力要件に専門家へ相談するメリット

永住許可の申請は、要件の複雑さから専門家への相談が有効です。特に今後の日本語能力要件の追加を見据えると、早めの相談がより重要になると考えられます。

行政書士に依頼する3つのメリット

  1. 最新の法改正情報を把握している — 日本語能力の要件化など、変化の激しい入管行政の最新動向をもとにアドバイスを受けることができます。
  2. 個別のケースに応じた戦略を立てられる — ご自身の在留状況、日本語能力、職歴などを総合的に判断し、最適な申請タイミングを提案いたします。
  3. 書類作成の負担を軽減できる — 複雑な申請書類の作成を専門家に任せることで、日本語の勉強に集中する時間を確保できるでしょう。

配偶者ビザをお持ちの方で永住申請を検討されている場合は、配偶者ビザに関する詳細ページもご確認ください。また、就労ビザからの永住申請については、就労ビザの詳細ページが参考になります。


まとめ|永住許可の日本語能力要件に早めの備えを

この記事では、永住許可に日本語能力が新たな要件として追加される動きについて解説しました。改めて重要なポイントを整理します。

  • 現時点で永住許可に日本語能力の法定要件はないが、令和9年度(2027年度)の導入が検討されている
  • 具体的なレベルは未確定だが、JLPT N3〜N2程度が想定される可能性がある
  • 経営・管理ビザでは既にN2以上の日本語能力が要件化されている(令和7年10月施行)
  • 永住許可取消制度も令和9年4月から始まる見込み
  • 日本語能力試験やBJTの受験など、今から準備を始めることが大切

以上のことから、永住許可の申請を検討されている方は、日本語能力の対策を含めて早めに動き出すことをおすすめします。


永住許可の申請でお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。 日本語能力の要件化を見据えた最適な申請戦略を、経験豊富な行政書士がご提案いたします。

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