特別永住者の帰化申請条件は、一般の外国人と比較して大きく緩和されています。在日韓国・朝鮮籍の方々にとって、日本国籍取得は人生の重要な選択肢の一つです。しかし、「具体的にどのような条件を満たせば申請できるのか」「広島ではどこに相談すればよいのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、特別永住者の帰化申請条件について、広島エリアでの手続きの流れとともに詳しく解説します。
特別永住者とは|令和6年の統計データ
特別永住者とは、戦前から日本に居住していた旧植民地出身者とその子孫に付与される在留資格です。
出入国在留管理庁が公表した令和6年末現在における在留外国人数の統計によれば、特別永住者数は27万4,023人となっています。これは前年末から減少傾向が続いており、帰化や世代交代により、特別永住者の人数は年々減少している状況です。
そのため、特別永住者の方々にとって、日本での生活基盤をより確かなものにするため、帰化申請を検討されるケースが増えています。
特別永住者の帰化申請は「簡易帰化」に該当
特別永住者の帰化申請は、国籍法第8条に基づく「簡易帰化」として扱われる傾向があります。そのため、通常の帰化(普通帰化)と比較して、一部の要件が緩和されるケースがあります。
簡易帰化とは
簡易帰化とは、日本との特別な関係性を持つ外国人に対し、通常の帰化要件の一部を免除または緩和する制度です。
特別永住者の多くは日本で生まれ育っているため、この簡易帰化の対象となる可能性があります。具体的には、住所要件や能力要件が緩和されることが一般的です。
特別永住者の帰化申請条件|7つの要件

特別永住者の帰化申請では、以下の7つの要件が審査されます。ただし、簡易帰化の適用により一部の要件が緩和される傾向があります。
1. 住所要件
通常の帰化では「引き続き5年以上日本に住所を有すること」が求められます。しかし、特別永住者で日本で生まれた方、または父母のいずれかが日本で生まれている方の場合、この住所要件が免除される可能性があります。
多くの特別永住者の方は、生まれてから継続して日本に居住しているため、この要件は問題なく満たしていると考えられます。
2. 能力要件
申請者が18歳以上であることが求められます。また、本国の法律においても成人に達している必要があります。
ただし、簡易帰化の適用により、この要件が緩和されるケースもあります。親と一緒に帰化申請をする未成年の場合は、能力要件が免除される傾向があります。
3. 素行要件
素行が善良であることが求められます。具体的には、以下のような点が審査される傾向があります。
- 前科や犯罪歴の有無
- 重大な交通違反の有無
- 納税義務の履行状況
- 社会保険料の納付状況
そのため、過去5年程度の運転記録証明書や納税証明書の提出が求められます。軽微な交通違反であれば必ずしも不許可となるわけではありませんが、素行要件に影響を与える可能性があります。
4. 生計要件
自己または生計を同じくする配偶者その他の親族の資産または技能によって生計を営むことができることが求められます。
つまり、単身で申請する場合は本人が、家族で申請する場合は世帯全体で、安定した収入や資産があることが確認される傾向があります。
具体的には、給与明細、課税証明書、納税証明書などから生計状況が判断されます。
5. 重国籍防止要件
帰化により元の国籍を喪失することが求められます。韓国籍の特別永住者の場合、日本国籍取得により自動的に韓国籍を喪失することになります。
また、日本は重国籍を認めていないため、帰化後は日本国籍のみを保持することになります。
6. 憲法遵守要件
日本国憲法またはその下に成立した政府を暴力で破壊することを企てたり、主張したりする団体を結成したり、加入していないことが求められます。
一般的な生活を送っている方であれば、この要件は問題なく満たしていると考えられます。
7. 日本語能力要件
帰化申請では、日常生活に支障のない程度の日本語能力が求められる傾向があります。
特別永住者の方の多くは日本で生まれ育っているため、日本語能力については問題ないケースがほとんどです。ただし、法務局での面接時には、簡単な日本語の読み書き能力が確認されることがあります。
広島で帰化申請する際の管轄法務局

広島県にお住まいの方が帰化申請をする際は、住所地を管轄する法務局で手続きを行います。
広島法務局の公式サイトによれば、以下の5つの拠点で帰化相談を受け付けています。
| 管轄法務局 | 管轄地域 | 電話番号 |
|---|---|---|
| 広島法務局民事行政部戸籍課 | 広島市、海田町、府中町、坂町、熊野町、北広島町、安芸太田町、廿日市市、大竹市、三次市、庄原市、安芸高田市 | 082-228-5773 |
| 広島法務局東広島支局 | 東広島市、竹原市、大崎上島町 | 082-423-7707 |
| 広島法務局呉支局 | 呉市、江田島市 | 0823-21-9288 |
| 広島法務局尾道支局 | 尾道市、三原市、世羅町 | 0848-23-2883 |
| 広島法務局福山支局 | 福山市、府中市、神石高原町 | 084-923-0100 |
広島法務局での帰化相談は予約制となっています。そのため、帰化申請を検討されている方は、まず管轄法務局に電話で相談予約を入れる必要があります。
なお、予約が1か月以上先になることもありますので、早めの連絡をおすすめします。
特別永住者の帰化申請に必要な書類
特別永住者の帰化申請では、一般の外国人と比較して提出書類が簡略化される傾向があります。特に、「帰化の動機書」の作成が不要となる点が大きな特徴です。
申請者自身が作成する書類
- 帰化許可申請書
- 親族の概要を記載した書面
- 履歴書
- 生計の概要を記載した書面
- 事業の概要を記載した書面(事業経営者の場合)
- 宣誓書(受付時に法務局で記入)
特別永住者の場合、通常の帰化申請で必要となる「帰化の動機書」の作成が不要です。これは大きな書類簡略化のメリットといえます。
韓国領事館等で取得する本国書類
韓国籍の特別永住者の場合、以下の書類を韓国領事館で取得する必要があります。広島法務局が公表している特別永住者の必要書類リストで詳細を確認できます。
- 基本証明書(詳細)
- 家族関係証明書(詳細)
- 婚姻関係証明書(詳細)
- 入養関係証明書(詳細・該当者のみ)
- 除籍謄本(該当者のみ)
これらの書類は、東京の韓国領事館をはじめ、全国の韓国領事館で取得することができます。また、郵送での請求も可能な場合があります。
日本の官公署で取得する書類
- 住民票(世帯全員分、法定住所期間内の居住歴記載)
- 特別永住者証明書の写し(表裏)
- 運転記録証明書(5年間分)
- 課税証明書・納税証明書
- 社会保険料の納付証明書(年金、健康保険等)
- 給与明細(直近数か月分)
- 源泉徴収票
特に、納税証明書と社会保険料の納付証明書は重要です。直近1年分の納付状況が確認されるため、未納がある場合は事前に納付しておくことをおすすめします。
特別永住者の帰化申請で注意すべきポイント
通称名と本名の使用
特別永住者の方の中には、日常生活で通称名(日本名)を使用されている方も多くいらっしゃいます。
帰化申請では、通称名を使用している場合、その使用実績を証明する書類の提出を求められることがあります。住民票に通称名が記載されている場合は、その記載のある住民票を提出します。
また、帰化後に使用する氏名は、日本の戸籍に記載される氏名となります。通称名を引き続き使用することも、新たな氏名を選択することも可能です。
年金・社会保険料の納付状況
近年の帰化審査では、年金や社会保険料の納付状況が厳格に確認される傾向があります。
特に、国民年金の未納期間が長い場合や、直近の納付状況が良くない場合は、審査に影響を与える可能性があります。そのため、未納がある方は、申請前に少なくとも直近1年分の年金を納付しておくことが推奨されます。
会社員の方で厚生年金に加入している場合は、給与から天引きされているため、特に問題となることは少ないと考えられます。
交通違反歴の確認
運転免許をお持ちの方は、5年間の運転記録証明書を提出する必要があります。
軽微な違反であれば必ずしも不許可となるわけではありませんが、重大な交通違反(酒気帯び運転、無免許運転など)や、違反回数が多い場合は、素行要件に影響を与える可能性があります。
運転記録証明書は、自動車安全運転センターで取得することができます。
帰化申請の流れ|広島での手続き
広島エリアで帰化申請を行う際の一般的な流れをご説明します。
1. 管轄法務局への相談予約(0〜1か月目)
まず、お住まいの地域を管轄する広島法務局または支局に電話で相談予約を入れます。
帰化相談は予約制のため、希望する日時の予約が取れるまで数週間〜1か月程度かかることがあります。早めの予約をおすすめします。
2. 初回相談・必要書類の確認(1か月目)
予約した日時に法務局を訪問し、帰化相談を受けます。
初回相談では、申請者の状況をヒアリングし、必要書類の説明を受けます。また、「帰化許可申請のてびき」という冊子を受け取ることができます。
この段階で、個別の状況に応じて必要となる書類のリストが提示されます。
3. 書類の収集・作成(1〜4か月目)
初回相談で指示された書類を収集・作成します。
韓国の書類は韓国領事館で取得し、日本の書類は各官公署で取得します。また、申請書類(帰化許可申請書、親族の概要、履歴書など)を自分で作成します。
この段階が最も時間がかかる部分です。特に、本国書類の取得や複雑な家族関係の整理には時間を要する場合があります。
4. 書類の確認・追加指示(4〜6か月目)
書類が揃ったら、再度法務局に予約を入れて訪問します。
法務局の担当者が書類を確認し、不備や不足がある場合は追加書類の指示を受けます。この確認作業は複数回にわたることもあります。
5. 正式申請(6〜8か月目)
すべての書類が整い、担当者の確認を経て、正式に帰化許可申請を行います。
申請時には、本人が法務局に出向き、書類を提出します。また、宣誓書に署名を行います。
6. 審査期間(8〜18か月目)
申請後、法務省での審査が行われます。審査期間は個別のケースにより異なりますが、概ね6か月〜1年程度が一般的です。
審査中に、法務局から追加書類の提出を求められることがあります。また、法務局での面接が行われる場合もあります。
7. 結果通知・許可後の手続き(18〜20か月目)
審査が完了すると、法務局から連絡があります。許可の場合は、法務局で許可証を受け取り、その後市区町村役場で帰化届を提出します。
帰化届の提出により、日本の戸籍が作成されます。
帰化申請を行政書士に依頼するメリット
特別永住者の帰化申請は、一般の外国人と比較して書類が簡略化される傾向がありますが、それでも相当な準備が必要となります。
書類作成の負担軽減
帰化許可申請書、親族の概要、履歴書、生計の概要など、多くの書類を正確に作成する必要があります。
行政書士に依頼することで、これらの書類作成を代行してもらうことができます。また、記載内容の誤りや漏れを防ぐことができます。
必要書類の取得サポート
韓国領事館での本国書類の取得や、各官公署での証明書取得について、的確なアドバイスを受けることができます。
また、取得した書類の翻訳も行政書士に依頼することができます。
法務局対応のサポート
法務局での相談や書類提出の際、行政書士が同行することで、スムーズな手続きが期待できます。
また、法務局からの追加指示や質問に対しても、適切に対応することができます。
不許可リスクの軽減
帰化申請は、一度不許可となると再申請に相当な時間と労力がかかります。
行政書士は入管業務の専門家として、不許可リスクを最小限に抑えるためのアドバイスを提供します。納税状況や社会保険料の納付状況など、審査で重視されるポイントを事前にチェックし、問題があれば解決策を提案します。
まとめ|特別永住者の帰化申請は簡易帰化の適用で要件緩和
特別永住者の帰化申請は、簡易帰化として一部の要件が緩和される傾向があります。住所要件の免除や、帰化の動機書の作成不要など、一般の外国人と比較して手続きがスムーズに進むケースが多いと考えられます。
しかし、それでも必要書類の収集や申請書類の作成には相当な時間と労力がかかります。また、納税状況や社会保険料の納付状況など、審査で重視される要件もあります。
広島エリアで帰化申請をお考えの特別永住者の方は、まず管轄の広島法務局に相談予約を入れることから始めましょう。そして、必要に応じて入管業務に精通した行政書士のサポートを活用することも検討されることをおすすめします。
当事務所では、特別永住者の帰化申請について、書類作成から法務局対応まで、トータルでサポートいたします。まずは無料相談で、あなたのケースについて詳しくお聞かせください。日本国籍取得という大切な決断を、私たちが全力でサポートいたします。(登録申請中4月開業予定)