令和9年(2027年)4月1日の育成就労制度施行に伴い、既存の監理団体は監理支援機関への移行が求められる見込みです。特に広島県では、令和7年10月末時点で技能実習生が19,369人、特定技能外国人が9,273人と、外国人材の受入れが拡大しています。そのため、県内の監理団体にとっても早期の対応が欠かせない状況といえるでしょう。
この記事では、監理支援機関への移行手続きや許可基準の厳格化ポイント、広島県の事業者が押さえておきたい実務上の注意点を行政書士が分かりやすく解説します。
育成就労制度の創設と監理支援機関への移行の背景
令和6年(2024年)6月、入管法等の改正法が成立しました。この改正により、技能実習制度は発展的に解消される方向です。そして、新たに「育成就労制度」が創設されることとなっています。
従来の技能実習制度における「監理団体」は、新制度では**「監理支援機関」へ再編される見込みです。ただし、既存の監理団体が自動的に移行できるわけではありません。出入国在留管理庁のQ&Aによれば、監理支援機関として活動するためには新たに許可を受ける必要がある**とされています。
つまり、現在の許可とは別に、改めて申請手続きを行うことが求められる可能性が高い状況です。
広島県における外国人材受入れの現状と監理支援機関移行の重要性
広島労働局が公表した「外国人雇用状況」届出まとめ(令和7年10月末時点)によると、広島県の外国人労働者数は51,821人で過去最多を記録しました。
| 項目 | 人数 | 前年比 |
|---|---|---|
| 外国人労働者数(全体) | 51,821人 | +3,470人(+7.2%) |
| 技能実習 | 19,369人 | +632人(+3.4%) |
| 特定技能 | 9,273人 | +2,155人(+30.3%) |
(出典:広島労働局「外国人雇用状況」届出状況まとめ(令和7年10月末時点))
特に注目すべきは、特定技能の伸び率です。前年比30.3%増という急成長を見せています。一方で、ひろぎん経済研究所の特定技能レポートでは、広島県の技能実習修了者が特定技能1号へ移行する際に県外へ流出しているケースも指摘されています。
このような状況を踏まえると、広島県内の監理団体が監理支援機関への移行を着実に進めることは、地域の外国人材確保において極めて重要な課題と考えられます。
監理支援機関の許可基準の厳格化ポイント
監理支援機関への移行にあたり、許可基準は従来の監理団体より厳しくなる見込みです。出入国在留管理庁の育成就労制度Q&Aに基づき、主な変更点を整理します。
新たに追加された主な許可要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 外部監査人の設置 | 養成講習を受講した弁護士・社労士・行政書士等を配置 |
| 財務健全性 | 債務超過がないこと |
| 受入れ機関数 | 原則として2者以上の受入れ機関と関係を有すること |
| 常勤役職員の配置基準 | 2人以上かつ受入れ機関数÷8・外国人数÷40を超える人数 |
さらに、受入れ機関と密接な関係を有する役職員の監理への関与が制限される方向です。加えて、外部監査人の設置が義務化されることで、監理の独立性・透明性が高まると考えられます。
外部監査人の要件と行政書士の役割
外部監査人になるための要件として、以下の3点が示されています。
- 所定の養成講習を受講していること
- 弁護士、社会保険労務士、行政書士等の有資格者であること
- 監理支援機関が支援する受入れ機関と密接な関係がないこと
なお、行政書士は外部監査人の有資格者として明記されています。したがって、監理支援機関への移行準備にあたっては、行政書士への相談が有効な選択肢となる場合があります。
監理支援機関への移行スケジュールと施行日前申請
育成就労制度に向けた移行スケジュールの全体像を確認しておきましょう。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 令和6年(2024年)6月 | 改正法成立・公布 |
| 令和8年(2026年)4月15日 | 監理支援機関の許可に係る施行日前申請の受付開始 |
| 令和8年(2026年)9月1日 | 育成就労計画の認定に係る施行日前申請の受付開始 |
| 令和9年(2027年)4月1日 | 育成就労制度の施行日 |
(出典:出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A)
ここで重要なのは、令和8年4月15日から施行日前申請が始まるという点です。施行日の約1年前から受付が開始されるため、早めの準備が欠かせません。
とはいえ、施行日前申請を行うにはさまざまな要件を満たす必要があります。具体的には、外部監査人の確保や常勤役職員の体制整備などが挙げられます。
監理支援機関の許可を受けた場合の経過措置
施行日以降も技能実習生を引き続き受け入れる場合、気になるのは既存の監理団体の許可との関係でしょう。
この点について、出入国在留管理庁のQ&Aでは次のように示されています。育成就労制度の監理支援機関の許可を受けている場合には、技能実習制度における一般監理事業の許可を受けたものとみなされるとのことです。
したがって、監理支援機関の許可を取得すれば、別途監理団体の許可を更新する必要がなくなる可能性があります。このことからも、早めの移行手続きにはメリットがあるといえるでしょう。
監理支援機関への移行に向けた実務的な準備
実際に移行準備を進めるにあたり、以下のステップを参考にしていただければと思います。
ステップ1:現状の体制を確認する
- 常勤役職員の人数は基準を満たしているか
- 債務超過の有無を財務諸表で確認
ステップ2:外部監査人を確保する
- 弁護士・社労士・行政書士等の有資格者に依頼
- 養成講習の受講スケジュールを確認
ステップ3:申請書類を準備する
- 出入国在留管理庁の運用要領ページから最新の様式を入手
- 監理支援機関許可申請書、監理支援事業計画書等を作成
ステップ4:施行日前申請を行う
- 令和8年4月15日以降に申請を提出
なお、準備に不安がある場合は、入管業務に詳しい行政書士への相談をおすすめします。特に広島県内の監理団体の皆さまには、地域の実情に精通した専門家のサポートが心強い味方となるでしょう。
特定技能制度への対応をお考えの方は、特定技能制度の詳細ページ(出入国在留管理庁)もあわせてご確認ください。また、就労ビザ全般について知りたい方は、当事務所の就労ビザに関する解説ページもご覧いただけます。
広島の監理団体が今すぐ始めるべきこと
令和8年4月の施行日前申請開始まで、残された時間は限られています。しかし、早めに動き出せば十分に対応できるはずです。
まず、自団体の体制が新しい許可基準に適合しているかを点検しましょう。次に、外部監査人の候補者を選定し、養成講習の情報を収集することが大切です。そのうえで、申請書類の準備を計画的に進めていくことが望ましいでしょう。
広島県は全国的にも外国人材の受入れが盛んな地域です。そのため、監理支援機関への移行を円滑に進めることは、地域経済の発展にもつながると考えられます。
永住許可や在留資格の変更など、外国人材に関する他の手続きについても、当事務所では幅広く対応しております。永住許可申請や配偶者ビザに関する情報もあわせてご参照ください。
まとめ:監理支援機関への移行は早めの準備がカギ
この記事では、監理支援機関への移行手続きについて、広島県の現状を踏まえながら解説しました。最後に、ポイントを整理します。
- 育成就労制度は令和9年4月1日に施行予定
- 監理支援機関の施行日前申請は令和8年4月15日から開始
- 許可基準は厳格化され、外部監査人の設置や財務健全性が求められる見込み
- 広島県は外国人労働者51,821人と受入れが拡大中
- 監理支援機関の許可を取得すれば、監理団体の許可更新が不要となる可能性
以上のことから、今のうちに体制整備を始めることが重要と考えられます。制度の移行に不安をお感じの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
