2026年6月から、在留カードとマイナンバーカードが一体化した特定在留カードの運用が開始される予定です。外国人の方にとって手続きがどのように変わるのか、どんなメリットがあるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、特定在留カードの基本的な内容から申請方法、注意点までわかりやすく解説します。
特定在留カードとは?新しい在留カード制度の概要
特定在留カードとは、在留カードとマイナンバーカードの機能を1枚に統合したカードのことです。これまで別々に管理されていた2つのカードが一体化されることで、外国人の方の利便性が大きく向上することが期待されています。
特定在留カード制度が導入される背景
日本に在留する多くの外国人は、在留カードとマイナンバーカードの両方を所持しています。しかし、これらのカードに関する手続きは、それぞれ異なる行政機関で行う必要があり、外国人の方にとって負担となっていました。
そのため、令和6年6月21日に出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律が公布されました。この法改正により、在留カード等とマイナンバーカードを一体化することが可能となり、外国人の生活の質を高めるとともに、行政運営の効率化を図ることが目指されています。
運用開始時期と対象者
特定在留カードの運用は、2026年(令和8年)6月14日から開始される予定です。地方出入国在留管理局では、翌開庁日の6月15日(月)から申請受付が始まる見込みです。
対象となるのは、住民基本台帳に記録されている中長期在留者または特別永住者です。つまり、日本に適法に在留し、住民登録をしている外国人の方が申請できることになります。
特定在留カードのメリット|手続きが一元化される
特定在留カードの最大のメリットは、2つのカードに関する手続きが一元化されることです。具体的にどのような点で便利になるのか見ていきましょう。
市区町村での手続きが不要になる
これまでは、地方出入国在留管理局で在留期間更新や在留資格変更などの許可を受けた後、別途市区町村の窓口に出向いてマイナンバーカードの情報を更新する必要がありました。
しかし、特定在留カードの交付を受けた場合、マイナンバーカード機能についても最新の情報が記録されるため、市区町村での手続きが不要になります。これにより、手続きの時間や手間が大幅に削減される可能性があります。
カードの枚数が減る
2枚のカードを別々に管理する必要がなくなり、1枚のカードで在留カードとマイナンバーカードの両方の機能を利用できます。カードの紛失リスクも軽減され、財布の中もすっきりします。
マイナンバーカードの機能がそのまま使える
特定在留カードは、マイナンバーカードとみなされます。そのため、マイナポータルへのアクセス、マイナ保険証としての利用、コンビニでの各種証明書の取得など、マイナンバーカードのすべての機能を利用できる見込みです。
特定在留カードの申請方法|どこで申請できる?

特定在留カードの申請は、地方出入国在留管理局または市区町村の窓口で行うことができます。ただし、どこでも申請できるわけではなく、特定の手続きと併せて申請する必要があります。
地方入管でできる手続き
地方出入国在留管理局では、以下の手続きに併せて特定在留カードの交付申請を行うことができます。
- 在留期間更新許可申請
- 在留資格変更許可申請
- 永住許可申請
- 在留カードの有効期間の更新許可申請
- 汚損等による在留カードの再交付申請
- 交換希望による在留カードの再交付申請
- 住居地以外の在留カード記載事項の変更届出
市区町村でできる手続き
市区町村の窓口では、入管法に規定する住居地の届出を行ったとみなされる場合に限り、以下の手続きに併せて申請できます。
- 新規上陸後の住居地届出
- 住居地の変更届出
- 在留資格変更に伴う住居地の届出
必要書類
特定在留カードの申請には、以下の書類が必要となる予定です。
- 特定在留カード等交付申請書
- 暗証番号等設定依頼書
- 写真1葉
これらの書類に加えて、併せて行う在留資格申請や届出に必要な書類の提出も必要です。なお、具体的な様式については、出入国在留管理庁のホームページで今後公表される見込みです。
特定在留カードの券面記載事項|何が記載される?
特定在留カードの券面には、従来の在留カードとは異なる事項が記載される予定です。具体的にどのような情報が記載されるのか確認しておきましょう。
券面(表面)に記載される事項
特定在留カードの表面には、以下の事項が記載されます。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍の属する国または地域
- 住居地
- 在留資格
- 在留期間の満了の日
- 在留カードの番号
- 有効期間の満了の日
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可の有無
裏面に記載される事項
特定在留カードの裏面には、マイナンバー(個人番号)が記載されます。また、通称名が住民票に記載されている場合は、追記欄に通称名も記載される見込みです。
ICチップにのみ記録される事項
現行の在留カードに記載されていた以下の事項は、券面には記載されず、カード内のICチップにのみ記録されることになります。
- 在留期間
- 許可の種類
- 許可年月日
- 在留カードの交付年月日
これらの情報は、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を使用してICチップから確認できる見込みです。
新様式の在留カードとの違い|選択肢は2つ
特定在留カードの導入と同時に、従来の在留カードも新しい様式に変更されます。外国人の方は、以下の2つの選択肢から選ぶことができます。
1. 特定在留カード(マイナンバー機能付き)
在留カードとマイナンバーカードの機能を1枚に統合したカードです。マイナンバーカードのすべての機能を利用できます。
2. 新様式の在留カード(マイナンバー機能なし)
マイナンバーカードの機能を持たない、従来型の在留カードです。券面の記載事項は特定在留カードとほぼ同じですが、裏面にマイナンバーの記載はありません。
どちらを選ぶかは任意です。マイナンバーカードの取得が任意であるのと同様に、特定在留カードの取得も義務ではありません。引き続き、在留カードとマイナンバーカードを2枚持つことも可能です。
有効期間の変更|永住者は10年ごとの誕生日まで
新しい在留カード制度では、在留カードの有効期間も変更される予定です。特に永住者の方は、大きな変更となる可能性があります。
永住者・高度専門職2号の場合
現行制度では、永住者の在留カードの有効期間は交付日から7年間(16歳未満の者は16歳の誕生日の前日まで)です。
しかし、新制度では、交付日後の10回目の誕生日まで(18歳未満の者は5回目の誕生日まで)に変更される予定です。これにより、マイナンバーカードの有効期間と一致し、更新手続きを一元化できるようになります。
在留期間に定めがある場合
就労ビザや配偶者ビザなど、在留期間に定めがある中長期在留者の在留カードの有効期間は、引き続き在留期限までとなります。この点に変更はありません。
顔写真の表示ルールも変更|16歳未満も表示される
現行制度では、16歳未満の方については在留カードの券面に顔写真を表示しないこととされていました。しかし、新制度では、マイナンバーカードと同様に、1歳以上16歳未満の方についても顔写真を表示することとされる予定です。
なお、1歳未満の場合には、マイナンバーカードと同様、顔写真が不要とされる見込みです。
特定在留カード申請時の注意点|知っておくべきポイント
特定在留カードの申請を検討している方は、以下の注意点を押さえておきましょう。
交付までの期間が長くなる
通常の在留カードは、地方出入国在留管理局の窓口で申請すればその場で即日交付されるケースが多くあります。しかし、特定在留カードは交付までに通常の在留カードよりも10日ほど長くかかる見込みです。
急いでカードが必要な場合は、スケジュールに余裕を持って申請する必要があります。
空港では交付されない
新規上陸の際、空港で交付されるのは通常の在留カードのみです。特定在留カードは空港では交付されません。
空港で在留カードを受け取った後、地方出入国在留管理局または市区町村の窓口で特定在留カードへの交換申請を行う必要があります。
オンライン申請では当面受付不可
在留申請オンラインシステムを利用する場合、当面の間は特定在留カードの交付申請を受け付けることができません。特定在留カードを希望する場合は、地方出入国在留管理局の窓口で手続きを行う必要があります。
申請しても必ず交付されるとは限らない
特定在留カードの交付申請を行っても、個別の事情等により、通常の在留カードが交付される場合があります。すべての申請が承認されるわけではない点に注意が必要です。
常時携帯義務は継続される
特定在留カードは在留カードであるため、常時携帯義務が課せられます。外出時には必ず携帯し、入国審査官等から提示を求められた場合には提示する必要があります。
紛失した場合の対応|マイナンバー機能の停止も必要
特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードの両方の性質を持っています。そのため、紛失した場合は両方の手続きが必要になります。
中長期在留者の場合
- マイナンバーカードの一時利用停止手続き(マイナンバー総合フリーダイヤル:0120-95-0178)
- 最寄りの警察に届出
- 住居地を管轄する地方出入国在留管理局で紛失による在留カードの再交付申請
- 再び特定在留カードを希望する場合は、在留カードの交換希望による再交付申請に併せて特定在留カード交付申請
特別永住者の場合
- マイナンバーカードの一時利用停止手続き
- 最寄りの警察に届出
- 市区町村の窓口で紛失による特別永住者証明書の再交付申請(この際に特定特別永住者証明書の交付申請も可能)
紛失時は速やかに対応することが重要です。不正利用を防ぐため、まずはマイナンバーカード機能の一時停止手続きを優先しましょう。
現在の在留カードはどうなる?|切替は不要
2026年6月の特定在留カード制度開始後、現在お持ちの在留カードはどうなるのでしょうか。
有効期限まで使用可能
現行様式の在留カードは、新制度開始後も有効期限まで有効です。特定在留カード等または新様式の在留カードへの切替え手続きは義務ではありません。
任意での交換も可能
有効期限の満了日よりも前に特定在留カードまたは新様式の在留カードへの交換を希望する場合は、地方出入国在留管理局で再交付の申請をすることができます。
ただし、通常の更新・変更手続きの際に新しいカードが交付されるため、わざわざ再交付申請をする必要はないケースが多いと考えられます。
マイナ保険証・マイナ運転免許証としての利用
特定在留カードは、マイナンバーカードと同様、マイナ保険証およびマイナ運転免許証として利用することが可能です。
マイナ保険証
特定在留カードの交付を受ければ、そのまま医療機関でマイナ保険証として利用できます。別途手続きは不要です。
マイナ運転免許証
マイナ運転免許証として利用する場合は、警察署等で免許情報の書込みに係る手続きが必要になります。現在マイナ運転免許証を利用している方も、新たに交付される特定在留カードには情報が引き継がれないため、再度手続きが必要となる点に注意が必要です。
まとめ|特定在留カードで手続きがより便利に
特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードを1枚に統合した新しいカードです。2026年6月から運用が開始される予定で、外国人の方の手続き負担の軽減が期待されています。
主なポイントをまとめると以下のとおりです。
- 運用開始は2026年(令和8年)6月14日予定
- 取得は任意(義務ではない)
- 住民基本台帳に記録されている中長期在留者または特別永住者が対象
- 地方入管または市区町村で申請可能(特定の手続きと併せて申請)
- 交付までに通常の在留カードより10日ほど長くかかる見込み
- 永住者の有効期間が10年ごとの誕生日までに変更
- マイナ保険証・マイナ運転免許証としても利用可能
特定在留カードは便利な制度ですが、申請のタイミングや必要書類、注意点など、押さえておくべきポイントがいくつかあります。特に初めて申請される方は、手続きに不安を感じることもあるでしょう。
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