令和10年(2028年)度中に導入が予定されているJESTA(e-Visa)は、訪日外国人の入国管理を大きく変える新しい制度です。短期滞在ビザが免除されている国・地域からの渡航者に対して、渡航前にオンラインで事前審査を行う仕組みとなります。この記事では、JESTAの概要や対象者、申請手続きの流れについて、行政書士が詳しく解説します。
JESTA(e-Visa)とは?日本版ESTAの基本
JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)は、日本政府が令和10年(2028年)度中の導入を目指している電子渡航認証制度です。この制度は、アメリカのESTA(エスタ)をモデルとしたもので、「日本版ESTA」とも呼ばれています。
従来は、短期滞在ビザが免除されている国・地域からの渡航者は、事前の手続きなく来日できました。しかし、JESTAの導入により、渡航前にオンラインで申請を行い、認証を取得することが必要となる見込みです。
JESTA導入の背景と目的
出入国在留管理庁が公表した「不法滞在者ゼロプラン」によると、JESTAは当初令和12年(2030年)の導入を予定していました。しかし、不法滞在者の増加やテロ対策の強化という社会情勢を踏まえ、導入時期が前倒しされる方向に進んでいます。
主な目的は以下の通りです:
- 事前にオンラインで提供された情報をもとにスクリーニングを実施する
- 好ましくない外国人の来日を未然に防止する
- 不法就労や不法滞在のリスクを低減する
- テロ対策を強化し、国民の安全・安心を確保する
- 入国審査の円滑化と効率化を図る
JESTAの対象者は誰?ビザ免除国・地域からの渡航者
JESTAの対象となるのは、短期滞在ビザが免除されている国・地域からの渡航者です。現在、日本は約71〜74の国・地域に対してビザ免除措置を実施しています。詳しくは外務省のビザ免除国・地域一覧をご確認ください。
対象となる主な国・地域
ビザ免除措置の対象国・地域には、以下のような国々が含まれる傾向があります:
- アジア地域:韓国、台湾、香港、マカオ、シンガポール、マレーシア、タイ、ブルネイ、インドネシアなど
- 北米地域:アメリカ、カナダ
- ヨーロッパ地域:イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オーストリア、スイスなど
- オセアニア地域:オーストラリア、ニュージーランド
- 中南米地域:メキシコ、アルゼンチン、チリ、ブラジル(一部条件付き)など
- 中東地域:アラブ首長国連邦、トルコ(注意事項あり)など
対象とならないケース
以下の場合は、JESTAの対象外となる可能性があります:
- もともとビザ取得が必要な国・地域からの渡航者
- 短期滞在以外の在留資格で入国する方
- 就労ビザや留学ビザなど、事前に在留資格認定証明書を取得している方
- クルーズ船での一部の入港者(別途要件がある場合)
JESTA(e-Visa)の申請方法と手続きの流れ

JESTAの具体的な申請方法は、今後詳細が公表される見込みですが、米国のESTAや韓国のK-ETAを参考にすると、以下のような流れが想定されます。
想定される申請手続きの流れ
- オンライン申請サイトにアクセス
専用のオンライン申請サイトから申請を行います。 - 必要情報の入力
以下のような情報の入力が求められることが考えられます:- 氏名、生年月日、性別
- 国籍、パスポート番号、有効期限
- 渡航目的(観光、ビジネス、会議出席など)
- 滞在予定期間
- 日本での連絡先や滞在先
- 職業、勤務先情報
- 過去の渡航履歴
- 犯罪歴の有無
- 手数料の支払い
政府は2,000円〜3,000円程度の手数料を検討しているとの報道があります。オンライン決済での支払いとなる見込みです。 - 審査
提出された情報をもとに、法務省・出入国在留管理庁が審査を実施します。 - 認証結果の通知
承認された場合は、電子的に認証が通知されます。認証を取得していない場合、航空機への搭乗が拒否される可能性があります。
有効期間と利用回数
米国のESTAでは、有効期間が2年間で複数回の利用が可能となっています。JESTAについても、同様の仕組みが検討される可能性がありますが、詳細は今後の発表を待つ必要があります。
現在の「JAPAN e-VISA」との違いは?
外務省は令和6年(2024年)7月から、一部の国・地域を対象に「JAPAN e-VISA」という電子ビザシステムを既に開始しています。ただし、このシステムとJESTAは異なるものです。
JAPAN e-VISAの概要
- 対象:もともとビザ取得が必要な国・地域の方が対象
- 目的:短期滞在ビザ(観光目的、90日以内)の申請
- 方法:オンラインで申請し、電子ビザの交付を受ける
- 対象国・地域:令和6年(2024年)12月現在、イギリス、オーストラリア、カナダ、カンボジア、サウジアラビア、シンガポール、台湾、ブラジル、米国、南アフリカ、中国、ベトナム、UAE、インド、インドネシア、韓国、香港、マカオ、モンゴルなど
JESTAとの違い
| 項目 | JAPAN e-VISA | JESTA |
|---|---|---|
| 対象者 | ビザ取得が必要な国・地域の方 | ビザ免除国・地域の方 |
| 目的 | ビザの電子化 | 事前入国審査の実施 |
| 運用開始 | 令和6年(2024年)7月〜 | 令和10年(2028年)度中(予定) |
| 性質 | 正式なビザ | 渡航認証(ビザではない) |
JESTA導入で注意すべきポイント
JESTAが導入されると、訪日外国人の入国手続きに大きな変化が生じます。以下の点に注意が必要です。
1. 事前申請を忘れると搭乗できない
JESTAの認証を取得していない場合、航空会社が搭乗を拒否する仕組みが導入される見込みです。渡航前に必ず申請を完了させることが求められる傾向があります。
2. 審査に時間がかかる可能性
申請内容に不備がある場合や、追加の確認が必要な場合は、審査に時間を要することがあります。余裕をもって申請を行うことをお勧めします。
3. 不承認となるケース
以下のような場合、認証が不承認となる可能性があります:
- 過去に不法滞在や強制退去の経歴がある
- 犯罪歴がある
- 申請内容に虚偽がある
- 日本への入国が好ましくないと判断される場合
4. 類似サイトに注意
米国のESTAでは、公式サイトに似せた民間の代行サイトが多数存在し、高額な手数料を請求するトラブルが報告されています。JESTAについても、同様の問題が発生する可能性があるため、必ず公式サイトから申請を行うようにしてください。
企業や外国人受入れ担当者が知っておくべきこと
外国人の受入れを行う企業や団体にとっても、JESTAの導入は重要な変更点となります。
短期商用ビザ免除でのビジネス渡航
短期商用目的で来日する外国人についても、ビザ免除国・地域からの渡航であれば、JESTAの申請が必要になる見込みです。会議や商談、視察などで外国人を招へいする際には、事前にJESTA申請を案内する必要があると考えられます。
在留資格認定証明書を取得している場合
就労ビザや留学ビザなど、事前に在留資格認定証明書を取得し、在外公館でビザを取得して入国する場合は、JESTAの対象外となる可能性が高いと考えられます。ただし、詳細は今後の公式発表をご確認ください。
JESTA以外の入管制度変更も要チェック
令和8年(2026年)の通常国会に提出された入管難民法改正案には、JESTA以外にも重要な変更点が含まれています。
在留手続き手数料の上限引き上げ
在留資格の変更や更新などに必要な手数料の上限が、現行の1万円から30万円に大幅に引き上げられる方向に進んでいます。ただし、実際の手数料額は政令で定められるため、今後の動向を注視する必要があります。
難民認定申請の審査迅速化
難民認定申請の平均処理期間を短縮し、令和12年(2030年)までに平均6か月での処理を目指すとされています。
護送官付き国費送還の促進
退去強制が確定した外国人のうち、重大犯罪者などを中心に、計画的かつ確実に送還を実施する方針が示されています。
JESTAに関するご相談は行政書士へ
JESTAは令和10年(2028年)度中の導入が予定されていますが、詳細な制度設計は今後順次公表される見込みです。訪日外国人の受入れを行う企業や団体、あるいは日本への渡航を予定している外国人の方にとって、重要な制度変更となります。
また、入管法や在留資格に関する手続きは複雑で、個別のケースによって対応が異なることがあります。外国人の雇用、招へい、在留資格の申請などでお困りの際は、入管業務に精通した行政書士にご相談ください。
当事務所では、外国人の在留資格申請をはじめ、入管業務全般に関する専門的なサポートを提供しています。帰化申請、永住許可申請、就労ビザ、配偶者ビザなど、幅広い入管業務に対応可能です。お気軽にご相談ください。
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