技能実習生が特定技能の在留資格へ移行する際、技能実習生の評価調書が重要な書類となるケースが増えています。特に、技能実習2号を修了したものの、技能検定3級や技能実習評価試験に不合格となった外国人が特定技能へ移行を希望する場合、この評価調書が必要となる可能性があります。

評価調書は、技能実習中の業務態度、出勤状況、技能修得の程度、日本語能力などを実習実施者が詳細に記載する公的な書類です。そのため、作成には専門的な知識と正確な記載が求められます。

評価調書が必要となるケース

技能実習生が特定技能へ移行する際、以下のいずれかの条件を満たすことが求められます。まず、技能実習2号を良好に修了し、技能検定3級または技能実習評価試験(専門級)に合格している場合は、評価調書の提出は原則不要です。

しかし、次のようなケースでは、技能実習生に関する評価調書の提出が必要となる傾向があります。

評価調書提出が必要となる主なケース

  • 技能実習2号を2年10か月以上修了したが、技能検定3級に不合格だった場合
  • 技能実習評価試験(専門級)を受検したが不合格だった場合
  • やむを得ない事情により技能検定・技能実習評価試験を受検できなかった場合
  • 一度帰国した元技能実習生を特定技能で再度呼び寄せる場合

評価調書は、技能試験に合格していなくても、技能実習中の実習状況が良好であったことを証明する重要な書類となります。

評価調書の記載内容と様式

技能実習生の評価調書は、出入国在留管理庁が定める参考様式第1-2号を使用して作成する方向に進んでいます。具体的には、以下の項目を詳細に記載することが求められることがあります。

評価調書に記載する主な項目

記載項目記載内容記載のポイント
対象技能実習生氏名、生年月日、性別、国籍、職種・作業正確な情報を記載
技能実習実施状況月別の出勤日数、出勤率、欠勤日数、有給休暇取得日数実習期間全体を通じた記録
技能検定・試験結果受検日、試験名、合否、未受検の場合は理由不合格の場合もその事実を記載
技能実習指導員の所見技能修得状況、日本語能力、作業態度具体的なエピソードを含める
生活指導員の所見日常生活態度、地域との関わり生活面での成長を記載
技能実習責任者の所見技能と生活態度の総合評価全体的な評価を明記
監理責任者の所見定期監査時の面談内容、総合評価団体監理型の場合に必要

評価調書作成時の重要ポイント

評価調書を作成する際には、いくつかの重要な注意点があります。それでは、各ポイントについて詳しく見ていきましょう。

具体的な記載を心がける

技能実習指導員の所見では、「どのような技能を修得し、現在、何がどの程度できるか」を日本語能力にも触れながら具体的に記載することが求められる傾向があります。抽象的な表現ではなく、実際の作業内容や修得レベルを明確に記載することが重要です。

例えば、「溶接作業が上手にできる」ではなく、「下向きや横向きの姿勢での半自動アーク溶接作業を安全に配慮しながら適切に実施できる」といった具体的な記載が望まれます。

実習期間全体の成長過程を記載する

評価調書では、入国当初から実習終了までの成長過程を時系列で記載することが効果的です。特に、困難を乗り越えて成長した過程や、日本語能力の向上に伴う技能修得の進展などを記載すると、説得力のある評価調書となる可能性が高まります。

出勤状況は正確に記録する

月別の出勤日数、出勤率、欠勤日数、有給休暇取得日数は、記録に基づいて正確に記載することが必須です。出勤率が高く、無断欠勤がないことは、真面目に実習に取り組んでいたことの重要な証拠となります。

評価調書が提出できない場合の対応

実習実施者が倒産した、連絡が取れなくなったなど、何らかの理由で評価調書が入手できないケースも存在します。そのような場合でも、適切な対応を行うことで特定技能への移行が可能となるケースがあります。

評価調書が入手できない場合の代替書類

評価調書が提出できない場合には、以下の書類の提出が求められる可能性があります。

  • 評価調書を提出できないことの経緯を説明する理由書
  • 当時の技能実習指導員等による実習状況の証明書
  • 技能実習生本人が作成した実習内容の報告書
  • 実習実施者の廃業や連絡不能を証明する資料

ただし、これらの代替書類でも必ず認められるとは限らないため、個別のケースについては出入国在留管理庁への事前相談や専門家への相談が推奨されます。

評価調書の作成を依頼できる専門家

評価調書は実習実施者または監理団体が作成する書類ですが、記載内容が不十分だと特定技能の在留資格申請が不許可となるリスクがあります。そのため、作成前に入管業務に精通した行政書士に相談することをお勧めいたします。

行政書士に依頼するメリット

入管業務を専門とする行政書士に依頼すると、以下のようなメリットが期待できます。

  • 出入国在留管理庁が求める記載内容を的確に把握した評価調書作成のアドバイス
  • 不許可リスクを最小限に抑えた書類作成
  • 評価調書だけでなく、特定技能の在留資格申請全体のサポート
  • 評価調書が入手できない場合の代替手段の提案

特に、過去に不許可となった経験がある場合や、評価調書の記載内容に不安がある場合は、専門家のサポートを受けることで許可の可能性を高められる傾向があります。

まとめ:評価調書は慎重な作成が必要

技能実習生の評価調書は、技能試験に不合格となった外国人が特定技能へ移行する際の重要な書類です。適切に作成された評価調書は、試験結果だけでは判断できない実習生の真の能力と努力を証明する強力な資料となります。

しかし、記載内容が不十分だったり、抽象的な表現にとどまっていたりすると、在留資格申請が不許可となる可能性も否定できません。評価調書の作成にあたっては、出入国在留管理庁が求める記載要件を十分に理解し、具体的かつ詳細な内容を盛り込むことが求められます。

当事務所では、技能実習から特定技能への移行手続きを数多く取り扱っており、評価調書の作成アドバイスから在留資格申請まで、トータルでサポートいたします。就労ビザや特定技能に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。(登録申請中4月開業予定)

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行政書士江島世鉉事務所(登録申請中4月開業予定)

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