日本企業においてフィリピン人の採用手続きを検討されている経営者・人事担当者の方も多いのではないでしょうか。フィリピンは日本にとって重要な人材供給国であり、令和6年末現在で34万1,518人のフィリピン人が日本に在留しています。しかし、採用手続きには複雑な在留資格の申請が伴います。
この記事では、フィリピン人の採用手続きについて、必要な在留資格の種類から申請の流れ、必要書類まで、分かりやすく解説します。適切な手続きを理解することで、スムーズな採用が実現できる可能性が高まります。
フィリピン人採用が増加している背景
近年、日本企業におけるフィリピン人の採用は増加傾向にあります。出入国在留管理庁の統計によれば、令和6年末時点でフィリピン人の在留者数は34万1,518人となり、前年末と比較して1万9,472人増加しました。この数字は在留外国人全体の中で第4位に位置しています。
また、フィリピン人は英語力が高く、ホスピタリティ精神に優れている点が評価されています。そのため、介護、製造業、飲食業、サービス業など幅広い分野で活躍される傾向があります。さらに、技能実習や特定技能制度を通じた受け入れも年々拡大しています。
フィリピン人の採用手続きで必要となる在留資格
フィリピン人を採用する際には、業務内容に応じた適切な在留資格を取得する必要があります。主な在留資格は以下の通りです。
技術・人文知識・国際業務ビザ
技術・人文知識・国際業務は、専門的な知識や技術を必要とする業務に従事する場合に取得される在留資格です。例えば、通訳、IT技術者、デザイナー、マーケティング担当者などが該当します。この在留資格を取得するためには、大学卒業以上の学歴、または関連業務の実務経験が求められることが一般的です。
令和6年末時点で、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で日本に滞在する外国人は41万8,706人となり、前年末比で5万6,360人増加しています。専門性の高い人材の需要が高まっていることがわかります。
特定技能ビザ
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れる制度です。介護、建設、製造業、飲食料品製造業、外食業など14分野(令和6年時点)が対象となっています。
フィリピン人の特定技能外国人も増加傾向にあり、特に介護分野や製造業分野での活躍が期待されています。特定技能1号の在留期間は通算5年となり、特定技能2号へ移行することで更新が可能になる場合もあります。
技能実習ビザ
技能実習制度は、開発途上国への技能移転を目的とした制度です。令和6年末時点で、技能実習の在留資格で日本に滞在する外国人は45万6,595人となり、フィリピン人も多く受け入れられています。
ただし、技能実習は実習生として受け入れる制度であり、労働力確保を主目的とした採用とは異なる点に注意が必要です。適正な実習計画の作成と実施が求められます。
フィリピン人採用手続きの流れ

フィリピン人を海外から招へいして採用する場合、以下のような手続きの流れとなる傾向があります。
1. 採用する人材の選定
まず、採用するフィリピン人材を選定します。人材紹介会社を利用する場合や、自社で直接募集する場合があります。業務内容に見合った学歴・職歴を持つ人材を選ぶことが重要です。
2. 雇用契約の締結
採用が決定したら、雇用契約書を作成します。ただし、在留資格が不許可となる可能性もあるため、「在留資格認定証明書が交付されることを条件とする」という停止条件を付けることが一般的です。
3. 在留資格認定証明書交付申請
次に、日本の地方出入国在留管理局に対して、在留資格認定証明書交付申請を行います。この申請は、日本の受け入れ企業または行政書士などの代理人が行うことができます。
申請から交付までの期間は、通常1か月から3か月程度かかる傾向があります。審査状況によっては、追加書類の提出を求められることもあります。
4. 在留資格認定証明書の送付
在留資格認定証明書が交付されたら、それをフィリピンにいる本人に国際郵便等で送付します。証明書の有効期間は交付日から3か月間となるため、速やかに送付することが大切です。
5. 査証(ビザ)申請
本人が在留資格認定証明書を受け取ったら、フィリピン国内の日本大使館または総領事館で査証(ビザ)申請を行います。在留資格認定証明書があれば、査証発給はスムーズに進む傾向があります。
6. 来日・在留カード交付
査証が発給されたら、フィリピン人材は日本へ入国します。成田空港や羽田空港などの主要空港では、入国審査の際に在留カードが交付されます。これにより、正式に就労が可能となります。
フィリピン人の採用手続きに必要な書類
在留資格認定証明書交付申請には、企業の規模(カテゴリー)に応じた書類の提出が求められます。以下は、技術・人文知識・国際業務ビザの申請に必要となる主な書類です。
共通書類
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明写真(4cm×3cm)1枚
- 返信用封筒(簡易書留用切手貼付)
- カテゴリーを証明する書類
申請人(フィリピン人)に関する書類
- 履歴書
- 大学等の卒業証明書
- 職歴証明書(該当する場合)
- パスポートの写し
受け入れ企業に関する書類(カテゴリー3・4の場合)
- 労働条件通知書(雇用契約書)
- 登記事項証明書
- 決算書類の写し
- 会社案内等の事業内容を説明する資料
- 前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(カテゴリー3の場合)
企業が上場企業や一定規模以上の企業(カテゴリー1・2)に該当する場合は、提出書類が大幅に簡略化される傾向があります。カテゴリー分けについては、出入国在留管理庁の公式サイトで詳細を確認することができます。
フィリピン人採用手続きにおける注意点
学歴と業務内容の関連性
技術・人文知識・国際業務ビザを取得する場合、申請人の学歴と従事する業務内容に関連性が求められる傾向があります。例えば、経営学を専攻した方が営業職に就く場合は関連性が認められる可能性がありますが、文学部卒の方が製造ラインで単純労働に従事する場合は不許可となることがあります。
適正な報酬額の設定
外国人労働者に支払う報酬は、日本人が従事する場合と同等以上でなければなりません。最低賃金を下回る報酬や、極端に低い報酬設定は不許可の理由となる可能性があります。
フィリピン政府への手続き
フィリピン人を海外労働者として雇用する場合、フィリピン政府(海外雇用庁:POEA)への登録が必要となるケースがあります。特に、人材紹介会社を通じて採用する場合は、この点を確認することが重要です。
申請書類の正確性
申請書類に虚偽の記載があった場合、不許可となるだけでなく、今後の申請にも影響を及ぼす可能性があります。書類は正確に作成し、証明書類も最新のものを用意することが大切です。
フィリピン人採用手続きでよくある質問
Q1. フィリピン人の採用手続きにはどのくらいの期間がかかりますか?
在留資格認定証明書交付申請から交付までは、通常1か月から3か月程度かかる傾向があります。さらに、査証申請や来日の準備期間を含めると、全体で3か月から6か月程度を見込む必要があります。
Q2. 英語しか話せないフィリピン人でも採用できますか?
業務内容によります。通訳や国際業務など、英語力を活かせる業務であれば採用が可能です。ただし、日本語能力が全くない場合、日常生活や社内コミュニケーションに支障が出る可能性があるため、入社後の日本語研修などの支援体制を整えることが推奨されます。
Q3. 一度不許可になった場合、再申請はできますか?
再申請は可能です。しかし、不許可理由を解消しない限り、再び不許可となる可能性が高いと考えられます。不許可理由を正確に把握し、必要な改善を行った上で再申請することが重要です。
フィリピン人の採用手続きは専門家にご相談ください
フィリピン人の採用手続きは、在留資格の種類の選定、必要書類の準備、申請書の作成など、専門的な知識が求められる場面が多くあります。また、書類の不備や記載ミスがあると、審査が長引いたり不許可となったりする可能性もあります。
当事務所では、就労ビザをはじめとする入管業務を専門に取り扱っており、フィリピン人の採用手続きについても豊富な実績があります。企業の状況やフィリピン人材の経歴に応じた最適な在留資格の選定から、申請書類の作成、入管への申請代行まで、トータルでサポートいたします。
フィリピン人の採用をスムーズに進めたいとお考えの企業様は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。無料相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。(登録申請中4月開業予定)