2025年から2026年にかけて、ビザ更新審査厳格化の波が大きく押し寄せています。出入国在留管理庁は、在留資格の審査において「実態確認」を大幅に強化する方針を打ち出しました。そのため、これまで問題なく更新できていた方でも、突然不許可になるケースが急増しています。この記事では、入管が重視する実態確認のポイントと、不許可を防ぐための具体的な対策について、行政書士が詳しく解説します。

2026年の入管審査厳格化の背景

ビザ更新審査厳格化に対応する外国人と入管職員

令和6年末時点で、在留外国人数は376万8,977人に達し、前年末比35万7,985人(10.5%増)と過去最高を更新しました。このような急増に伴い、出入国在留管理庁は在留資格制度の適正運用を強化する必要性に迫られています。

特に問題視されているのが、以下の点です。

  • 名目上の職種で在留資格を取得し、実際には異なる業務に従事するケース
  • 実体のないペーパー会社を設立して経営管理ビザを取得するケース
  • 派遣労働において単純労働に従事させるケース
  • 公租公課(税金・社会保険料)の滞納や未納

したがって、入管は審査の厳格化と実態調査の強化に踏み切ったのです。

永住許可申請における審査厳格化のポイント

入管によるビザ更新の実態確認と書類審査

令和8年2月24日に改訂された「永住許可に関するガイドライン」では、審査基準がより明確化され、厳格化されました。

在留期間要件の厳格運用

従来は「最長の在留期間を有していること」という要件について、在留期間「3年」でも永住申請が可能でした。しかし、令和9年3月31日までの経過措置期間を経て、原則として在留期間「5年」を有していることが必須となります。

この変更により、永住申請のハードルが大きく上がることになります。

公的義務の履行に関する厳格化

永住許可申請において、公的義務の履行状況が厳しくチェックされるようになりました。特に重要なのは以下の点です。

確認項目詳細内容
納税義務所得税、住民税、消費税等の納付状況
年金保険料国民年金または厚生年金の納付状況
健康保険料国民健康保険または社会保険の納付状況
納付期限の遵守申請時点で納付済みでも、当初の納付期限内に履行されていない場合は消極的評価

なお、納付期限を守っているかどうかが極めて重要です。申請時に遡って納付しても、期限内に納付していなければ原則として消極的に評価されます。

永住許可申請の詳しい要件についてはこちら

就労ビザ(技人国)の審査厳格化と実態確認

2026年4月以降、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格審査が大幅に厳格化される見込みです。出入国在留管理庁は、技人国ビザで就労する外国人の実態把握を強化する方針を固めました。

実態確認で重視される3つのポイント

入管が実態調査で特に重視しているのは、次の3点です。

1. 業務内容と在留資格の適合性

技人国ビザは、専門的・技術的な業務に従事することを前提とした在留資格です。そのため、以下のような業務に従事している場合、在留資格に該当しないとして不許可になる可能性があります。

  • 製造ラインでの単純作業
  • 倉庫での荷物の運搬・梱包作業
  • 飲食店での配膳・清掃業務
  • 小売店でのレジ打ち業務

さらに、派遣労働の場合は特に厳しく審査されます。派遣先での実際の業務内容が、在留資格に該当する専門的業務であるかどうかが詳細に確認されます。

2. 雇用の継続性と安定性

入管は、雇用契約が実態を伴っているかを確認します。また、会社の経営状況や事業の継続性も重要な審査ポイントです。

  • 給与の支払実績(銀行振込記録)
  • 勤怠記録の整備
  • 会社の決算状況
  • 事業所の実在性

3. 公租公課の履行状況

会社として納付すべき税金や社会保険料の納付状況が厳格に確認されます。つまり、従業員個人だけでなく、雇用する企業側の納付状況も審査対象となります。

就労ビザの詳しい申請要件についてはこちら

経営管理ビザの審査厳格化(令和7年10月16日施行)

令和7年10月16日から、経営管理ビザの許可基準が大幅に改正されました。これは、実体のないペーパー会社を設立して移住目的でビザを取得するケースが目立ってきたことが背景にあります。

新基準の主な内容

項目旧基準新基準(令和7年10月16日〜)
資本金等500万円以上3,000万円以上
常勤職員規定なし1人以上の雇用が必須
日本語能力規定なし申請者または常勤職員のいずれかがN2相当以上
経歴要件実務経験3年以上または大卒経営管理に関する修士・博士学位または経営経験3年以上
事業計画書申請者が作成専門家(中小企業診断士・公認会計士・税理士)の確認が必須

既に経営管理ビザで在留中の方への影響

施行日時点で既に経営管理ビザで在留している方については、経過措置が設けられています。ただし、注意が必要です。

  • 令和10年10月16日までの申請:改正後の基準に適合しない場合でも、経営状況や改正後の基準に適合する見込み等を踏まえ、許否判断が行われます
  • 令和10年10月16日以降の申請:改正後の基準に適合する必要があります

加えて、在留期間更新時には公租公課の支払義務の履行状況が厳格に確認されます。労働保険料、社会保険料、法人税、源泉所得税、消費税などの納付状況を証明する資料の提出が求められます。

配偶者ビザの審査における実態確認

配偶者ビザ(日本人の配偶者等)についても、実態確認が強化されています。特に、以下の点が重点的にチェックされます。

婚姻の実態性

形式的な婚姻ではなく、実体を伴った婚姻生活が営まれているかを確認します。

  • 同居の事実(住民票の住所が一致しているか)
  • 生活費の負担状況
  • コミュニケーションの証明(メッセージのやり取り、写真など)
  • 配偶者の両親との交流

扶養能力の確認

日本人配偶者または外国人配偶者に、安定した収入があるかを確認します。ところが、収入が不安定な場合や、生活保護を受給している場合は、審査において消極的に評価されます。

配偶者ビザの申請要件について詳しくはこちら

実態確認の具体的手法

入管が実施する実態確認には、以下のような手法があります。

1. 書面審査の厳格化

提出書類の整合性を詳細にチェックします。例えば、雇用契約書の業務内容と、実際の勤怠記録や業務報告書の内容が一致しているかを確認します。

2. 追加資料の要求

審査の過程で、追加資料の提出を求められるケースが増えています。とりわけ、以下のような資料が求められます。

  • 直近3ヶ月分の銀行通帳のコピー
  • 給与明細書
  • 勤怠記録
  • 業務日報
  • 取引先との契約書
  • 事業所の写真

3. 現地調査(実地調査)

経営管理ビザや技人国ビザの場合、入管職員が実際に事業所を訪問して実態調査を行うケースが増えています。2025年10月には、読売新聞が入管職員の実地調査に同行取材し、その実態が報道されました。

実地調査では、以下の点が確認されます。

  • 事業所が実在するか
  • 表札や看板が掲げられているか
  • 申請者が実際に勤務しているか
  • 常勤職員が在籍しているか
  • 事業活動の実態があるか

4. 電話による聞き取り調査

申請者本人や雇用主に対して、入管から電話で聞き取り調査が行われることがあります。その際、業務内容や会社の状況について具体的な質問がなされます。

不許可を防ぐための7つの対策

実態確認の厳格化に対応するため、以下の対策を講じることが重要です。

1. 公的義務を期限内に確実に履行する

税金や社会保険料は、納付期限を厳守して納付してください。遡って納付しても、期限内に納付していなければ審査において消極的に評価されます。

具体的には、以下の対応が必要です。

  • 口座振替の設定(納付忘れを防ぐ)
  • 納付状況の定期的な確認
  • 納付証明書の取得と保管

2. 在留資格に該当する業務に従事する

技人国ビザの場合、専門的・技術的な業務に従事していることを明確に証明できるようにしてください。まず、業務内容を具体的に記録し、以下の資料を整備します。

  • 業務日報の作成
  • プロジェクト資料の保管
  • 成果物の記録
  • 取引先とのメール等のやり取りの保存

3. 雇用契約書と実態の一致

雇用契約書に記載された業務内容と、実際に従事している業務内容を一致させてください。また、給与額や勤務時間についても、契約書通りに履行されていることが重要です。

4. 事業所の実態を整える

経営管理ビザの場合、事業所の実態を整えることが必須です。具体的には、以下の対応が求められます。

  • 自宅兼事務所は原則として認められないため、独立した事業所を確保する
  • 表札や看板を掲げる
  • 事業活動に必要な設備を整える
  • 常勤職員を実際に雇用し、勤務実態を作る

5. 記録の整備と保管

以下の記録を日常的に整備し、保管してください。

記録の種類保管期間
給与支払記録(銀行振込明細)最低3年間
勤怠記録最低3年間
公租公課の納付証明書最低3年間
事業関係書類(契約書・請求書等)税法上の保管期間(7年間)
決算書類税法上の保管期間(7年間)

6. 配偶者ビザは婚姻の実態を証明する

配偶者ビザの場合、婚姻の実態を証明する資料を日常的に残しておくことが重要です。一方、以下のような資料が有効です。

  • 一緒に撮影した写真(日付入り)
  • メッセージアプリのやり取りのスクリーンショット
  • 共同で使用している口座の通帳
  • 配偶者の両親や親族との交流の記録
  • 共同で契約している携帯電話や保険の契約書

7. 専門家への早期相談

審査基準が厳格化している現在、書類の準備や申請戦略について、入管業務に精通した行政書士に早期に相談することをお勧めします。とりわけ、以下のような場合は専門家のサポートが不可欠です。

  • 過去に納付期限を守れなかった期間がある
  • 業務内容が在留資格に該当するか不明
  • 経営管理ビザで新基準への適合が難しい
  • 配偶者ビザで婚姻の実態証明が不十分
  • 以前に不許可や不交付を受けたことがある

令和6年の在留外国人統計データ

出入国在留管理庁が発表した「令和6年末現在における在留外国人数について」によると、在留外国人数の推移は以下の通りです。

年度在留外国人数前年比増加数増加率
令和4年末約307万人
令和5年末341万992人約34万人約11.1%
令和6年末376万8,977人35万7,985人10.5%

在留資格別では、「永住者」が91万8,116人と最も多く、次いで「技能実習」45万6,595人、「技術・人文知識・国際業務」41万8,706人と続いています。

このように在留外国人が急増する中、入管は制度の適正運用を図るため、審査の厳格化を進めているのです。

2026年以降の審査トレンド予測

今後、入管審査はさらに厳格化していくと予想されます。特に以下の点に注意が必要です。

1. AIやデジタル技術の活用

出入国在留管理庁は、デジタル技術を活用した審査の効率化と精度向上を進めています。そのため、書類の整合性チェックや過去の申請履歴との照合が自動化され、より厳密な審査が行われるようになります。

2. 永住者に対する管理の強化

令和7年12月の報道によると、政府は永住者の在留管理を厳格化する方針を示しています。具体的には、社会保険料の未納や在留期間の実質的な審査強化などが検討されています。

3. 日本語能力要件の拡大

経営管理ビザに日本語能力要件が導入されたように、他の在留資格においても日本語能力が審査基準に加えられる可能性があります。ちなみに、永住許可申請においても、将来的に日本語能力要件が導入される可能性が議論されています。

まとめ:実態確認の時代に備えた対策を

2026年の入管審査は、「実態確認」がキーワードです。書面上の要件を満たすだけでなく、実際の活動内容や生活実態が審査の中心となります。

不許可を防ぐためには、以下の3点が最も重要です。

  1. 公的義務を期限内に確実に履行する
  2. 在留資格に該当する活動を実際に行い、その記録を残す
  3. 書類と実態を一致させる

また、審査基準の厳格化に伴い、専門家のサポートの重要性が高まっています。少しでも不安がある場合は、早めに入管業務に精通した行政書士に相談することをお勧めします。

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