「相続が始まったけれど、兄弟の一人と何年も連絡が取れていない」。こうしたお悩みは、実は珍しくありません。遺産分割は相続人全員でまとまる必要があるため、音信不通の相続人がひとりいるだけで、手続きは止まってしまいます。そこでこの記事では、音信不通の相続人がいる場合の進め方を、広島・廿日市の行政書士が段階を追って解説します。

音信不通の相続人がいると遺産分割はどうなる?

遺産分割協議は、相続人全員が参加して合意しなければ成立しません。つまり、一人でも欠けたまま署名・押印を集めても、その協議は無効になります。したがって、連絡が取れない相続人を勝手に外し、残りのメンバーだけで話を進めることはできません。相続人全員がそろわないと協議が動かない点は、親が認知症で相続手続きができないケースとも共通します。

さらに困るのは、手続きが連鎖して止まることです。たとえば、預貯金の払い戻しや不動産の名義変更は、原則として遺産分割がまとまってから行います。しかも、相続税の申告と納税の期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月と決まっています。そのため、音信不通の相続人を放置すると、期限に間に合わなくなる危険もあるのです。相続全体の流れは相続手続きは何から始める?でも整理しています。

まず確認|「音信不通」と「行方不明」は違う

対処法を選ぶ前に、状況を正しく見極めましょう。ひとくちに連絡が取れないといっても、実際には二つのパターンがあります。

一つは、住所は分かるけれど疎遠になっているケースです。もう一つは、住所も生死も分からない、本当の意味での行方不明のケースです。両者では、取るべき手続きがまったく異なります。だからこそ、最初に現在の居場所を調べることが出発点になります。

戸籍の附票で現住所を調べる

連絡先が分からないときは、まず戸籍の附票を取りましょう。附票には、その戸籍に入っている人の住民票上の住所が記録されています。つまり、本籍地から附票をたどれば、疎遠な相続人の現住所が判明することが多いのです。行政書士は職務上請求により、この附票や戸籍を代わりに取り寄せられます。戸籍集めの全体像は相続人の調べ方・戸籍の集め方でも解説しています。

住所が判明したら、いきなり書類を送りつけるのは避けましょう。まずは手紙で連絡を試み、相続が起きた事実を伝えたうえで、遺産分割への協力をていねいにお願いするのが基本です。

住所は分かるが応じてくれないとき

手紙を送っても返事がない、あるいは話し合いそのものを拒まれることもあります。とはいえ、勝手に進められない以上、次の一手が必要です。そこで検討するのが、家庭裁判所の遺産分割調停です。調停では、調停委員が間に入り、当事者双方の言い分を聞きながら話し合いをまとめていきます。それでも合意に至らない場合は、審判へ移り、裁判官が分割方法を決めます。手続きの詳細は裁判所「遺産分割調停」で確認できます。

なお、調停の申立書類の作成は司法書士、相手方との交渉や代理は弁護士の担当です。当事務所では、こうした専門家と連携しながら、前提となる戸籍調査や相続関係の整理を担います。

本当に行方不明のとき|家庭裁判所の2つの手続き

附票をたどっても住所にたどり着けない、あるいは長年にわたり生死すら分からない。そうしたときは、家庭裁判所の力を借ります。状況に応じて、次の二つの制度を使い分けましょう。

不在者財産管理人の選任

所在は不明でも、まだ生きている可能性がある場合に選ぶのが、不在者財産管理人の選任です。家庭裁判所が管理人を選び、その人が行方不明の相続人に代わって遺産分割へ加わります。ただし、管理人が実際に分割へ合意するには、家庭裁判所の権限外行為許可が別途必要です。費用は収入印紙800円と連絡用の郵便切手が基本で、財産の内容によっては予納金を求められることもあります。詳しくは裁判所「不在者財産管理人選任」をご覧ください。

失踪宣告

一方、生死が7年間わからないときは、失踪宣告という方法もあります。これは、生死不明の人を法律上は亡くなったものとみなす制度です。宣告が確定すると、その相続人についても相続が発生し、権利が次の世代へと移ります。費用は収入印紙800円のほか、官報公告料などがかかります。制度の概要は裁判所「失踪宣告」で確認できます。

相続人の状況主な対処法
疎遠だが住所は判明附票で住所調査 → 手紙 → 遺産分割調停
所在不明(生存の可能性あり)不在者財産管理人の選任
7年以上生死不明失踪宣告

音信不通の相続人がいるときのよくある質問

連絡が取れない相続人を除いて分割できますか?

できません。前述のとおり、遺産分割協議には相続人全員の参加が欠かせません。一人でも欠ければ協議は無効となり、後からやり直しになります。

手紙も無視されたら、どうすればよいですか?

その場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を検討しましょう。第三者である調停委員が入ることで、当事者同士では動かなかった話が前へ進むこともあります。

行政書士には何を頼めますか?

戸籍や附票による相続人・住所の調査、そして遺産分割協議書の作成をお任せいただけます。加えて、裁判所への申立てが必要な場面では、司法書士や弁護士への橋渡し役も務めます。

廿日市で音信不通の相続人にお困りなら

音信不通の相続人がいる相続は、どこから手をつけるべきか迷いがちです。しかし、まず現住所を調べ、状況に合った制度を選べば、止まっていた手続きは前へ動き出します。だからこそ、早い段階で全体の道筋を描いておくことが、解決への近道になります。

行政書士江島世鉉事務所では、広島県廿日市市を中心に、戸籍・附票の収集から相続関係説明図・遺産分割協議書の作成までサポートしています。家庭裁判所の手続きが必要な場合も、司法書士・弁護士と連携し、窓口ひとつで対応します。まずはお気軽にご相談ください。なお、LINEからのお問い合わせも歓迎しています。

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行政書士江島世鉉事務所(広島県行政書士会 広島西支部/登録番号 26341147)
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