「うちの会社に、専任技術者になれる人はいるのだろうか」——建設業許可の検討は、たいていここで止まります。結論から言えば、専任技術者の要件は「国家資格」「指定学科の卒業+実務経験」「実務経験10年」の3ルートしかなく、どれか1つに当てはまれば認められます。ところが、年数の条件をクリアしていても、常勤性や書類の不足で認められない例は少なくありません。そこで本記事では、自分や社内の誰かが専技になれるかを順番に判定できるよう、広島・廿日市の行政書士が要件を整理します。
専任技術者とは|建設業許可を支える「技術の要」
専任技術者とは、営業所ごとに常勤し、専らその職務に従事する技術者のことです。見積もりや請負契約を技術面から支える立場のため、許可を受けたい業種ごとに最低1人の配置が求められます。なお令和6年12月13日の改正建設業法により、正式名称は「営業所技術者」(特定建設業では「特定営業所技術者」)へ変わりました。もっとも、現場では今も「専任技術者」「専技」という呼び方が定着しています。
いずれにせよ、経営面を担う経営業務管理責任者とこの専任技術者がそろわなければ、許可は下りません。だからこそ、人的要件の確認は準備の一番はじめに行うべき工程です。経営側の要件については、経営業務管理責任者の要件と常勤性を解説した記事もあわせてご覧ください。

専任技術者の要件は3ルート|まず自分がどこに当てはまるか
一般建設業の許可では、次の3つのうちいずれかを満たせば専任技術者として認められます。
| ルート | 当てはまる人 | 必要な実務経験 |
|---|---|---|
| ①国家資格 | 業種に対応した資格を持つ | 原則不要 |
| ②指定学科+経験 | 大学・高等専門学校の指定学科卒 | 3年以上 |
| ②指定学科+経験 | 高校・専門学校の指定学科卒 | 5年以上 |
| ③実務経験のみ | 資格も指定学科もない | 10年以上 |
つまり、資格がなくても経験年数で届く可能性は十分にあります。ただし、この年数は「許可を受けたい業種ごと」に必要だという点に注意してください。制度上の根拠は、国土交通省「営業所技術者等の要件について」で確認できます。
①国家資格を持っているか
もっとも確実なのが、業種に対応した国家資格を持つケースです。たとえば建築工事業なら一級・二級建築士、内装仕上工事業なら建築施工管理技士、管工事業なら管工事施工管理技士が該当します。資格がある場合、実務経験の年数は原則として問われません。したがって、証明にかかる手間も一気に軽くなります。
②指定学科を卒業しているか
学歴を使えるケースも見落とせません。指定学科とは、業種ごとに定められた土木工学・建築学・電気工学などの学科を指します。該当する学科を出ていれば、必要な実務経験は大学・高等専門学校卒で3年、高校・専門学校卒で5年に短縮されます。自分の学科が対象かどうかは、国土交通省の指定学科一覧でご確認ください。
③実務経験10年があるか
資格も指定学科もない場合の王道が、実務経験10年のルートです。言い換えれば、現場一筋で腕を磨いてきた職人こそ、この要件に届きやすい立場にあります。もっとも、難しいのは年数そのものではなく証明のほうです。この点は資格なしで専任技術者になる方法(実務経験10年)で詳しく扱っています。

令和5年の緩和|第一次検定の合格で必要な年数が短くなる
実は、令和5年7月1日の改正により、実務経験のハードルは一段下がりました。具体的には、1級の第一次検定合格者が大学の指定学科卒業者と同等に、2級の第一次検定合格者が高校の指定学科卒業者と同等に扱われます。その結果、必要な実務経験は10年から3年または5年へと大幅に短縮されました。
この見直しは、学歴に関係なく若手を専任技術者へ育てられる点で効果が大きい制度です。したがって、社内に検定合格者がいるなら、まずその人の経歴を洗い直す価値があります。改正の詳細は、国土交通省の報道発表資料をご参照ください。ただし、経験として数えられる期間の取り扱いには細かい条件があるため、事前の確認をおすすめします。
特定建設業の専任技術者はさらに条件が重い
下請へ出す金額が大きい元請になるなら、特定建設業の許可が必要です。そして特定建設業の専任技術者は、1級の国家資格者であるか、発注者から直接請け負った4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的実務経験を持つ人に限られます。
さらに注意したいのが、指定建設業と呼ばれる7業種(土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園)です。これらは実務経験だけでは認められず、1級資格者などが必須となります。つまり、将来的に特定を目指すなら、資格取得の計画を今から立てておくほうが安全です。
要件を満たしていても専任技術者になれない3つのケース
年数の条件を満たしていても、次のような事情があると認められません。専技になれるかどうかは、経歴よりむしろここで決まります。
他社で常勤扱いになっている
専任技術者には常勤性が求められるため、他社の社会保険に加入している方や、他社の常勤役員を務めている方は原則として認められません。同様に、同じ会社の別の営業所との掛け持ちも不可です。なお、他の法令にもとづく専任の資格者(管理建築士や宅地建物取引士など)との兼任にも制限があります。
営業所から通えない場所に住んでいる
常勤とは、営業所へ毎日通って職務にあたることを意味します。そのため、通勤が現実的でない遠方に住んでいる場合、常勤性を疑われることがあります。単身赴任や転居の予定があるなら、その点を説明できる資料を用意しておきましょう。
経験を裏づける書類が残っていない
実務経験ルートで最大の壁が書類です。工事請負契約書がもっとも望ましく、なければ注文書や請書、それも残っていなければ請求書と入金記録の組み合わせで代用します。加えて、当時の勤務先が発行する実務経験証明書も必要になります。広島県で求められる確認資料は、県の建設業許可申請の手引きに一覧が掲載されています。

専任技術者は現場に出られる?兼務のルール
「専技になると現場を離れることになるのでは」という不安もよく耳にします。原則として、専任技術者は営業所に常勤するため、工事現場の専任技術者を兼ねることはできません。
ただし令和6年12月の改正により、一定の条件下で1つの現場の主任技術者等を兼務できる特例が設けられました。条件には、請負代金が1億円(建築一式工事は2億円)未満であること、営業所から現場までの移動時間がおおむね2時間以内で巡回できること、映像や音声で現場を確認できる情報通信技術を導入すること、連絡員を配置することなどが含まれます。要するに、小規模な工事であれば、体制を整えることで現場に立つ道は残されています。
専任技術者の要件に関するよくある質問
Q. 実務経験だけで2つの業種を取れますか。
1人が実務経験だけで2業種を取る場合、同じ期間を二重に数えられないため、原則20年分の証明が必要です。一方、業種ごとに別の技術者を配置できるなら、それぞれ10年で足ります。
Q. 社長が経営業務管理責任者と兼任できますか。
同一の営業所であれば、兼任は原則として可能です。実際に、一人親方や小規模な事業者では代表者が両方を担う例が多くみられます。詳しくは一人親方が建設業許可を取れないケースでも解説しています。
Q. 採用したばかりの人を専任技術者にできますか。
できますが、前職での経験を前の勤務先に証明してもらう必要があります。したがって、円満に退職しているかどうかが実は重要な分かれ目になります。
Q. 第一次検定に合格したばかりでも認められますか。
合格しただけでは足りず、あわせて3年または5年の実務経験が求められます。まずは経歴を棚卸しし、足りない年数を把握するところから始めましょう。
広島・廿日市で専任技術者の判定に迷ったら
専任技術者の要件は、資格・学歴・実務経験・常勤性が複雑に絡み合うため、自社が該当するかどうかの判断は簡単ではありません。しかも、判定を誤ったまま書類を集め始めると、時間も費用も無駄になります。だからこそ、着手前に専門家へ確認することが結果的な近道です。
行政書士江島世鉉事務所では、広島・廿日市を中心に建設業許可の申請をサポートしています。「この経歴で専技になれるか見てほしい」というご相談だけでも構いません。費用の目安は建設業許可の費用はいくら?広島の相場、期間の目安は建設業許可の取得期間はどのくらいかでご確認いただけます。まずはお気軽にLINEからのお問い合わせをご利用ください。
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