「うちの店は、警察に許可をもらうのか、それとも届出だけでいいのか」。広島でバーやスナックの開業準備を進めると、多くの方がここで手が止まります。ところが、風営許可と深夜営業の届出は名前が似ているうえ、どちらも窓口は警察署です。そのため「両方いるのでは」「どちらでも同じでは」と誤解されがちです。しかし、この2つはまったく別の手続きで、選び間違えると営業そのものが違法になりかねません。そこでこの記事では、廿日市市の行政書士が、あなたの店がどちらに当たるのかを2つの質問で見極める方法をお伝えします。

風営許可と深夜営業の届出は何が違うのか

一方は「許可」、もう一方は「届出」

まず押さえたいのは、法的な性格の違いです。風営許可(風俗営業1号許可)は、広島県公安委員会の審査を経て初めて与えられる「許可」になります。したがって、書類を出しただけでは営業を始められません。欠格事由の確認や現地調査を経て、許可証が交付されて初めてスタートラインに立てます。

これに対し、深夜酒類提供飲食店営業は「届出」です。基準を満たした書類が受理されれば、その時点で深夜の営業に踏み出せます。つまり、審査の有無が両者を分ける決定的なポイントになります。

風俗申請をするイメージ2

広島での手数料と期間はここまで違う

比較項目風営許可(1号営業)深夜営業の届出
法的性格許可(公安委員会の審査あり)届出(受理で足りる)
広島県の手数料24,000円不要
期間の目安決定まで55日前後営業開始の10日前までに提出
接待できるできない
午前0時以降の営業原則できないできる

広島県警察の風俗営業許可申請必要書類等(個人用)でも、許可・不許可の決定までに55日前後を要すると案内されています。ですから、オープン予定日から逆算した準備が欠かせません。両制度の詳しい比較は風俗1号営業と深夜酒類飲食店営業の違いを徹底解説でも整理しています。

あなたの店はどっち?2つの質問で判断する

質問1|お客様に「接待」をしますか

接待は、警察庁の解釈運用基準で「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定義されています。たとえば、特定少数のお客様の近くにはべり、継続して談笑の相手になる行為が典型例です。加えて、隣に座ってお酌を続ける、デュエットで一緒に歌う、手拍子で歌を盛り上げるといった行為も接待にあたります。

一方、カウンター内から注文に応じて飲み物を出すだけなら、接待には該当しません。お酌をしても、すぐにその場を立ち去る程度であれば同じです。なお、「カウンター越しなら絶対に安全」という理解は誤りで、特定のお客様の正面に立ち続ければ接待と判断されることもあります。線引きの具体例は接待行為の具体例にまとめました。

質問2|午前0時を過ぎてお酒を出しますか

もう1つの軸が営業時間です。午前0時から午前6時までの間にお客様へ酒類を提供するなら、深夜営業の届出が必要になります。ここで、「酒の売上が半分以下なら届出はいらない」という説明を見かけた方もいるでしょう。けれども、これは誤解です。解釈運用基準は、提供する酒類の量の多寡を問わないと明記しています。

ただし、営業時間中つねに主食を提供する店は対象外です。主食とは、米飯類・パン類・めん類・ピザパイ・お好み焼きなどを指します。ラーメン店や定食屋がこれにあたります。逆に、締めのお茶漬けを出す程度では足りず、深夜に一杯でもお酒を出すなら届出の対象と考えるのが安全です。

2つの答えを組み合わせると結論が出る

接待午前0時以降必要な手続き
する0時前に閉店風営許可(1号営業)
しない営業する深夜営業の届出
しない0時前に閉店どちらも不要(保健所の許可のみ)
する営業する原則として不可

最後の組み合わせが、開業相談で最もつまずくところです。というのも、風営許可を受けた店は午前0時以降に営業できず、届出をした店は接待ができないからです。要するに、「接待もしたいし朝まで営業もしたい」は原則として通りません。だからこそ、物件を探す前に店のコンセプトを固める必要があります。

風俗申請するイメージ3

【広島】風営許可と深夜営業で変わる営業時間

風俗営業は、原則として午前0時から午前6時までの間は営業できません。もっとも、広島県の施行条例には特例が設けられています。広島市中区の銀山町・胡町・堀川町といった流川・薬研堀周辺の地域では、条例で定める日に限り午前1時まで延長できます。なお、廿日市市はこの特例の対象外です。

これに対し、深夜営業の届出には営業時間の上限を定める規定がありません。そのかわり、住居系の用途地域では深夜の酒類提供そのものが禁じられています。第一種低層住居専用地域や第一種住居地域などが該当します。ゆえに、物件を契約する前の用途地域チェックが欠かせません。地域ごとの考え方は風俗営業許可が取れる用途地域で解説しています。

選び間違えるとどうなるのか

仮に、届出だけで実際は接待をしていたとします。この場合、無許可営業として扱われます。しかも、令和7年6月28日に施行された改正風営法により、罰則は大幅に強化されました。具体的には、5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金です。法人が営業していた場合、罰金の上限は3億円まで引き上げられています。

一方、届出をせずに深夜の酒類提供を始めたときは、50万円以下の罰金が科される可能性があります。どちらも、「知らなかった」で済む話ではありません。条文はe-Gov法令検索の風営法で確認できます。判断に迷う場面は風俗営業許可と深夜飲食店の違いもあわせてご覧ください。

広島で手続きを進めるときの流れ

順序を誤ると、内装のやり直しや物件探しの振り出しに戻ることがあります。次の流れで進めてください。

  1. 用途地域を確認する:物件を契約する前に調べます。
  2. 保健所で飲食店営業許可を取る:風営許可でも届出でも、先に必要です。
  3. 接待の有無で手続きを決める:ここが最大の分岐点になります。
  4. 平面図と求積図を作成する:客室の床面積を数値で示します。
  5. 管轄の警察署へ申請・提出する:生活安全課が窓口です。

窓口は営業所の所在地で決まります。廿日市市なら廿日市警察署、広島市中区なら広島中央警察署です。管轄が分からないときは、広島県警察「警察署のご案内」で調べられます。様式や必要書類は手続様式ダウンロードコーナーから入手でき、深夜酒類提供飲食店営業の必要書類(個人用)も公開されています。

よくある質問

Q. 風営許可と深夜営業の届出を、両方出すことはできますか。
A. できません。風営許可を受けた営業所では深夜の営業自体が制限されるため、届出の対象になりません。

Q. 昼はカフェ、夜はバーとして営業します。届出は必要ですか。
A. 午前0時以降に酒類を提供するなら必要です。昼の業態は判断に影響しません。

Q. 居抜き物件で、前の店が許可や届出をしていました。引き継げますか。
A. 引き継げません。いずれも営業者ごと・営業所ごとの手続きになります。

まとめ|迷ったら物件を契約する前にご相談を

ここまで見てきたように、風営許可と深夜営業の届出を分けるのは「接待の有無」と「営業時間」の2点です。逆に言えば、この2つを整理すれば答えは自然と出ます。とはいえ、接待の線引きや用途地域の判断には、条文だけでは読み取れない実務の勘所があります。しかも、物件を契約したあとで基準に届かないと分かれば、時間も費用も大きく失われます。

行政書士江島世鉉事務所では、広島・廿日市エリアの飲食店開業について、手続きの見極めから書類作成・申請までサポートしています。物件を決める前の段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。

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