「うちは小さい工事しか受けていないから、建設業許可はいらない」。廿日市市や広島市の職人の方から、そんな声をよくいただきます。たしかに、一定の金額までなら無許可でも適法です。ところが、その上限は「税抜き500万円」ではありません。しかも、材料の支給や契約の分け方しだいで、気づかないうちに線を越えてしまう例が後を絶ちません。そこで本記事では、建設業許可なしでできる工事の上限を、広島の行政書士が具体例つきで整理します。

建設業許可なしでできる工事の上限は「税込500万円未満」

結論から言えば、上限は税込500万円未満です。建設業法では、軽微な建設工事だけを請け負う場合に限って許可が不要とされています(参考:国土交通省 建設業の許可とは)。つまり、この枠に収まっているうちは無許可でも違法ではありません。逆に、枠を超える工事を1件でも契約した時点で、無許可営業になってしまいます。

軽微な建設工事の金額基準【一覧表】

工事の種類許可が不要な範囲(軽微な建設工事)許可が必要になる工事
建築一式工事1件の請負代金1,500万円未満、または木造住宅で延べ面積150㎡未満左記を超える工事
建築一式工事以外(大工・内装・電気・管・塗装など)1件の請負代金500万円未満1件500万円以上の工事

広島県も同じ基準を公表しています(参考:広島県 建設業の許可制度について)。なお、この金額は令和7年2月1日施行の建設業法施行令改正でも据え置かれました。ちなみに同じ改正では、特定建設業許可の下請代金の下限などが引き上げられています。

建設業許可申請を出すイメージ写真

「未満」なので税込500万円ちょうどは許可が必要

条文の言葉は「500万円未満」です。したがって、税込でぴったり500万円の工事は、すでに許可が必要な側に入ります。一方、税込499万円であれば軽微な建設工事に収まります。わずか1万円の差が、現場では決定的な違いを生むわけです。

上限500万円は「税込・材料費込み」で数える

金額の数え方こそ、500万円の壁の本当の難所です。ここを誤解したまま受注し、後から慌ててご相談に来られる方は少なくありません。とくに次の3つは、廿日市市や広島市でも繰り返し起きています。

落とし穴1|消費税を含めた総額で判断する

請負代金には、取引に係る消費税および地方消費税を含めて計算します。たとえば本体価格460万円の工事は、税込にすると506万円です。つまり「本体価格が500万円を切っているから大丈夫」という確認の仕方では、上限を超えていることに気づけません。

落とし穴2|注文者が支給した材料費も加算する

注文者が材料を提供する場合には、その材料の市場価格と運送賃を請負代金に加えたうえで判断します。手間請け300万円の工事であっても、元請から支給された材料が250万円分あれば合計550万円です。ゆえに、手元に入る金額が小さくても許可が必要になる場面があります。

落とし穴3|契約を分けても合計額で判断される

ひとつの工事を2本の契約に分割しても、原則として各契約の合計額で判断されます。「250万円の契約を2本にすれば軽微な工事だ」という発想は、残念ながら通用しません。むしろ、正当な理由のない分割は悪質な脱法行為と見られてしまいます。

500万円未満でも許可や登録が必要な工事がある

金額の話だけで安心してしまうのも危険です。工事の種類によっては、500万円未満であっても別の登録が義務づけられています。

工事の種類500万円未満のときに必要な手続きポイント
解体工事解体工事業の登録(広島県知事)土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれかの建設業許可があれば登録は不要
電気工事電気工事業の登録請負金額と関係なく必要。建設業許可を取った場合も「みなし登録」の手続きが要る

解体工事は「登録」を忘れやすい

解体工事を請け負うなら、建設リサイクル法に基づく解体工事業の登録が必要です。広島県の場合、登録手数料は新規33,000円・更新26,000円で、有効期間は5年とされています(参考:広島県 建設工事に係る解体工事業者の登録申請等)。ただし、1件500万円を超える解体工事を請け負う場合は、登録ではなく建設業許可のほうが必要です。

電気工事は金額を問わず登録制

電気工事業も同じく登録制です。こちらは請負金額に関係なく手続きが求められる点に注意してください(参考:広島県 電気工事業者に関する申請)。要するに、500万円未満だから何も要らない、とは限らないのです。

無許可で上限を超えて請け負うとどうなるか

罰則は決して軽くありません。建設業法第3条に違反して許可を受けずに建設業を営んだ場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が定められています(参考:e-Gov法令検索 建設業法)。さらに、罰金刑を受ければ欠格要件に該当し、その後5年間は建設業許可を取得できません。加えて、無許可業者へ発注した元請まで監督処分のリスクを負います。だからこそ、取引そのものを失う前に手を打つ意味は大きいといえます(参考:元請から建設業許可を求められたときの対応)。

建設業許可が必要な工事

広島で500万円の壁を越えるなら知事許可を

営業所が広島県内だけにあるなら、申請先は広島県知事です。工事を行う場所は関係ありません(参考:他県の工事に建設業許可は必要か)。

項目目安
法定手数料(知事許可)新規9万円/更新5万円/業種追加5万円
標準処理期間おおむね45日
許可の有効期間5年(更新が必要)
準備期間の目安書類集めを含めて2〜3か月

手数料は国土交通省が公表しています(参考:国土交通省 許可申請の手続き)。標準処理期間について、広島県は「おおむね45日」としています。つまり、元請から求められてから動き始めたのでは、次の現場に間に合わないおそれがあります(参考:建設業許可の取得期間はどのくらいか)。

申請窓口は営業所の所在地で決まる

廿日市市・広島市・大竹市に営業所がある場合、窓口は西部建設事務所建設業課(082-250-8161)です。呉市は呉支所、東広島市は東広島支所、福山市は東部建設事務所、三次市は北部建設事務所が担当します。なお、資金面が不安な方は先に財産的基礎の要件を確認しておくと安心です(参考:自己資本500万円が用意できないとき)。

よくある質問

Q1.税込500万円ちょうどの工事に許可は必要ですか

必要です。基準は「500万円未満」なので、500万円に達した時点で軽微な建設工事から外れます。値引きで税込499万円台に収める対応は可能ですが、追加工事で超えないよう管理してください。

Q2.材料を自社で購入した場合はどう数えますか

自社で調達した材料費は、もともと請負代金に含まれています。加算が問題になるのは、あくまで注文者から材料が支給されるケースです。

Q3.500万円未満の工事しか受けないなら許可は一生不要ですか

制度のうえでは不要です。ただし、元請の下請登録や公共工事の入札では、金額と無関係に許可が条件とされる場合があります。したがって、営業の選択肢を広げたいなら早めの取得が有利です。

まとめ|上限は税込500万円未満、数え方に落とし穴あり

建設業許可なしでできる工事の上限は、建築一式工事以外なら税込500万円未満、建築一式工事なら税込1,500万円未満または木造住宅150㎡未満です。ただし、消費税・支給材料・分割契約という3つの落とし穴があり、体感より早く上限に届きます。しかも、解体工事や電気工事のように金額と別の登録が要る分野もあります。

「この工事は許可なしで受けられるのか」と迷ったら、契約前にご相談ください。当事務所では、見積書の段階で判断のお手伝いをし、必要であれば広島県知事許可の申請まで一貫してサポートします(参考:建設業許可の申請代行(広島県知事許可))。

▶ 建設業許可の専門サイトはこちら:https://hiroshima-kensetsu.jp
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行政書士江島世鉉事務所(広島県行政書士会 広島西支部/登録番号 26341147)
広島県廿日市市阿品台5-2-22 TEL 0829-39-8662


Sources:

広島・廿日市建設業許可相談オフィス

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