飲食店や遊技場を開業する際、「風俗営業」という言葉を耳にすることがあるかもしれません。しかし、風俗営業等の種類は非常に多岐にわたり、どの業種が許可や届出の対象となるのか、正確に理解している方は少ない傾向があります。
本記事では、行政書士の視点から、風俗営業等の種類を体系的に解説します。キャバクラやパチンコ店だけでなく、一般的な飲食店も条件次第で規制対象となることがあります。開業前に正しい知識を身につけておくことが重要です。
風俗営業等とは何か
「風俗営業等」とは、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称:風営法)によって規制される営業の総称です。
この法律では、健全に営まれれば国民に憩いと娯楽を提供する有用な営業である一方、営業方法が不適正になれば風俗上の問題を引き起こす可能性がある業種を対象としています。そのため、許可制や届出制により実態を把握し、適正な運営を促す仕組みが設けられています。
風俗営業等は、大きく分けて以下の4つのカテゴリーに分類される傾向があります:
- 風俗営業(1号~5号営業)
- 性風俗関連特殊営業
- 特定遊興飲食店営業
- 深夜における酒類提供飲食店営業
風俗営業の種類(1号~5号営業)
風俗営業は、許可制により規制される営業形態です。具体的には、警視庁が公表する業種一覧によると、5つの営業形態に分類されています。
1号営業:料理店・社交飲食店
1号営業は、「接待」を伴う飲食店を指します。ここでいう「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことを意味します。
具体的な業種:
- キャバレー
- キャバクラ
- ホストクラブ
- スナック
- パブ
令和5年の統計データによると、1号営業の許可件数は全国で約59,459件となっています。特に接待の定義には、談笑やお酌、特定少数の客と共に遊戯やゲームを行う行為などが含まれる傾向があります。
2号営業:低照度飲食店
2号営業は、客席の照度を10ルクス以下として営む飲食店が該当します。接待は行わず、照明の暗さが特徴となる営業形態です。
具体的な業種:
- 照度の低いバー
- ムーディーな喫茶店
令和5年のデータでは、全国で約30件の許可が確認されています。照度基準が明確に定められているため、開業前に照度測定を行うことが求められることがあります。
3号営業:区画席飲食店
3号営業は、他から見通すことが困難で、かつ広さが5平方メートル以下の客席を設けて営む飲食店を指します。個室や半個室のような空間を提供する業態が該当する可能性があります。
具体的な業種:
- 個室型の喫茶店
- 区画席を設けたバー
令和5年の統計では、全国で約21件の許可が出されています。
4号営業:マージャン店・パチンコ店等
4号営業は、射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業が該当します。
具体的な業種:
- パチンコ店
- マージャン店
令和5年のデータによると、パチンコ等営業の許可件数は全国で約13,906件となっており、年々減少傾向が見られます。
5号営業:ゲームセンター等
5号営業は、スロットマシンやテレビゲーム機など、射幸心をそそるおそれのある遊技設備を備える施設が対象となります。
具体的な業種:
- ゲームセンター
- アミューズメント施設
令和5年の許可件数は全国で約3,915件です。ただし、すべてのゲームセンターが該当するわけではなく、設置する遊技機の種類により判断される傾向があります。
性風俗関連特殊営業の種類
性風俗関連特殊営業は、性を売り物にする本質的に不健全な営業と位置づけられています。そのため、許可制ではなく届出制により実態を把握し、規制を課して取り締まる対象とされています。
店舗型性風俗特殊営業(1号~6号)
店舗を構えて営む性風俗関連営業には、以下の種類が存在します:
| 号数 | 業種 | 定義 |
|---|---|---|
| 1号 | ソープランド | 浴場業の施設として個室を設け、異性の客に接触する役務を提供する営業 |
| 2号 | 店舗型ファッションヘルス | 個室において異性の客の性的好奇心に応じて接触する役務を提供する営業 |
| 3号 | ストリップ劇場・のぞき部屋等 | 性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行場を経営する営業 |
| 4号 | ラブホテル・モーテル | 異性を同伴する客の宿泊・休憩の用に供する施設を設けて利用させる営業 |
| 5号 | アダルトショップ | 性的好奇心をそそる物品を販売・貸付する営業 |
| 6号 | 出会い系喫茶 | 面識のない異性との交際を希望する者に面会の機会を提供する営業 |
無店舗型性風俗特殊営業(7項)
店舗を持たずに営む性風俗関連営業には、次のような種類があります:
- 派遣型ファッションヘルス(デリバリーヘルス):客の依頼を受けて、役務を行う者を派遣する営業
- アダルトビデオ等通信販売:性的好奇心をそそる物品を配達により販売・貸付する営業
映像送信型性風俗特殊営業(8項)
インターネット等を利用して、性的な映像を配信する営業が該当します。アダルト動画配信サービスなどが代表的です。
電話異性紹介営業(9項・10項)
店舗型と無店舗型のテレホンクラブが該当します。面識のない異性との交際を希望する者に、電話による会話の機会を提供する営業です。
特定遊興飲食店営業とは
特定遊興飲食店営業は、平成27年の風営法改正により新たに創設された営業形態です。
定義:
ナイトクラブその他設備を設けて客に遊興をさせ、かつ、客に飲食(酒類の提供を含む)をさせる営業で、午前6時後翌日午前0時前の時間において営むもの以外のもの(風俗営業に該当するものを除く)を指します。
つまり、深夜0時以降に営業し、客に遊興と飲食を提供する店舗が対象となる傾向があります。具体的には、深夜営業のナイトクラブやライブハウスなどが該当する可能性があります。
この営業形態は許可制であり、都道府県公安委員会の許可を受ける必要があります。また、営業可能な地域が条例で制限されることがあるため、営業許可申請についての詳細はこちらをご確認ください。
深夜における酒類提供飲食店営業
深夜(午前0時から午前6時まで)において、酒類を提供して営む飲食店営業で、通常主食と認められる食事を提供しないものが該当します。
具体的な業種:
- 深夜営業のバー
- 深夜営業の居酒屋
- 深夜営業のスナック(接待なし)
この営業形態は許可制ではなく、届出制となっています。深夜0時以降も酒類を提供して営業する場合は、営業開始の10日前までに所轄警察署を経由して都道府県公安委員会に届出を行う必要がある傾向があります。
風俗営業等の種類による規制の違い
風俗営業等の種類によって、適用される規制内容が異なります。以下、主な違いをまとめます。
許可制と届出制の違い
| 営業形態 | 手続き | 主な規制内容 |
|---|---|---|
| 風俗営業(1~5号) | 許可制 | 営業者の欠格事由、構造・設備基準、営業時間制限、年少者立入禁止等 |
| 性風俗関連特殊営業 | 届出制 | 禁止区域、営業時間制限、18歳未満を客とすることの禁止等 |
| 特定遊興飲食店営業 | 許可制 | 営業者の欠格事由、営業可能地域の制限、営業時間制限等 |
| 深夜酒類提供飲食店営業 | 届出制 | 構造・設備基準、照度基準、騒音規制等 |
営業時間の制限
風俗営業(1号~5号)は、原則として深夜(午前0時から午前6時まで)の営業が禁止されています。ただし、都道府県の条例により特別の定めがある場合は例外が認められる可能性があります。
一方、特定遊興飲食店営業は深夜営業が可能ですが、都道府県条例により営業時間の制限が設けられることがあります。
欠格事由と人的要件
許可制の風俗営業や特定遊興飲食店営業では、営業者本人に以下のような欠格事由がないことが求められる傾向があります:
- 一定の犯罪歴がある者
- 暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 過去に風営法違反で許可を取り消された日から5年を経過しない者
- 未成年者(営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない者)
これらの要件は、善良な風俗環境を保持するために設けられています。
開業前に確認すべきポイント
飲食店や遊技場を開業する際、自身の営業形態がどの種類に該当するのかを事前に確認することが重要です。以下のポイントをチェックしましょう。
接待の有無を確認する
「接待」に該当する行為を行うかどうかが、1号営業に該当するかの分かれ目となります。従業員が客の隣に座って談笑する、お酌をする、カラオケで一緒に歌うなどの行為は、接待とみなされる可能性があります。
接待を行わないスタイルで営業する場合でも、照度や客席の構造により2号営業や3号営業に該当することがあるため注意が必要です。
営業時間帯を確認する
深夜0時以降も営業する場合、酒類を提供するかどうかで必要な手続きが変わります。深夜に酒類を提供する場合は、最低でも「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要となる傾向があります。
さらに、客に遊興をさせる場合は「特定遊興飲食店営業」の許可が必要になる可能性があります。
設備・構造基準を確認する
風俗営業や特定遊興飲食店営業には、客室の構造、照明設備、音響設備などに関する基準が設けられています。物件を契約する前に、これらの基準を満たせるかを確認することが推奨されます。
立地規制を確認する
風俗営業や性風俗関連特殊営業は、学校、図書館、児童福祉施設などの周囲200メートル以内での営業が制限される傾向があります。また、都道府県条例により、さらに厳格な地域規制が設けられることがあります。
開業予定地が規制区域に該当しないか、事前に所轄警察署の生活安全課に確認することをお勧めします。
許可申請・届出の流れ

風俗営業等の種類に応じて、許可申請または届出が必要となります。一般的な流れは以下のとおりです。
許可申請の場合(1~5号営業、特定遊興飲食店営業)
- 事前相談:所轄警察署の生活安全課に相談し、営業形態や物件が基準を満たすか確認します。
- 必要書類の準備:許可申請書、営業の方法を記載した書類、施設の図面、賃貸借契約書等を準備します。
- 許可申請書の提出:所轄警察署を経由して都道府県公安委員会に申請します。
- 審査:申請内容や施設の調査が行われます(標準処理期間は55日程度)。
- 許可証の交付:審査に通過すると許可証が交付され、営業開始が可能となります。
届出の場合(性風俗関連特殊営業、深夜酒類提供飲食店営業)
- 事前相談:所轄警察署に相談し、必要な書類を確認します。
- 届出書の作成:所定の届出書と添付書類を準備します。
- 届出書の提出:営業開始の10日前までに所轄警察署に提出します。
- 受理:届出が受理されれば、営業開始が可能となります。
いずれの場合も、書類の不備や施設の基準不適合があると手続きが遅れる可能性があるため、専門家に相談することが効果的です。
風俗営業等の種類を理解して適正な開業を
風俗営業等の種類は、接待の有無、照度、客席の構造、営業時間帯、提供するサービス内容などにより細かく分類されています。自身の営業形態がどの種類に該当するかを正確に把握し、必要な許可申請や届出を行うことが、適正な営業の第一歩となります。
また、風営法は頻繁に改正が行われる法律であり、最新の情報を常に確認することが求められる傾向があります。特に、令和6年には悪質ホストクラブ問題を受けた法改正の検討も進められており、今後も規制内容が変更される可能性があります。
開業を検討される際は、警視庁の公式サイトなどで最新情報を確認するとともに、行政書士などの専門家に相談されることをお勧めします。
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風俗営業等の種類は複雑で、営業形態の判断や必要書類の準備には専門知識が求められます。当事務所では、風俗営業許可申請をはじめとする各種許認可業務を専門的にサポートしております。
当事務所のサポート内容:
- 営業形態の判断と適切な手続きのアドバイス
- 許可申請書類の作成・提出代行
- 警察署との事前協議の同行
- 施設の構造基準適合性の確認
- 変更届や更新手続きのサポート
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