「広島県西部でスナック開業を考えているけれど、何から始めればいいのか分からない」——そのような悩みをお持ちではないでしょうか。スナック開業には、飲食店営業許可に加え、風俗営業許可や届出が必要となる場合があります。
この記事では、広島市・廿日市市・呉市・大竹市など広島県西部でスナックを開業するために必要な許可の種類や申請手続きの流れを、行政書士の視点から分かりやすく解説いたします。
スナック開業に必要な許可の種類

広島県西部でスナックを開業するには、主に以下の許可・届出が必要となる場合があります。
| 許可・届出の種類 | 申請先 | 概要 |
|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 管轄の保健所 | 食品衛生法に基づく営業許可 |
| 風俗営業1号許可 | 管轄の警察署(公安委員会) | 接待を伴うスナック営業に必要 |
| 深夜酒類提供飲食店営業届出 | 管轄の警察署(公安委員会) | 接待なしで深夜0時以降に酒類を提供する場合 |
| 防火管理者選任届 | 管轄の消防署 | 一定規模以上の店舗に必要 |
まず、すべてのスナックに共通して必要なのが飲食店営業許可です。この許可は管轄の保健所に申請を行います。
さらに、お客さまへの「接待」を行うかどうかにより、追加で必要となる許可が変わります。そのため、ご自身の営業スタイルを事前に整理しておくことが大切です。
風俗営業許可と深夜酒類提供飲食店届出の違い
スナック開業を検討する際に、多くの方が迷われるのがこの2つの違いです。以下の表で整理いたします。
| 項目 | 風俗営業1号許可 | 深夜酒類提供飲食店届出 |
|---|---|---|
| 接待行為 | 可能 | 不可 |
| 深夜0時以降の営業 | 原則不可 | 可能 |
| 手続きの種類 | 許可(審査あり) | 届出(届出のみ) |
| 申請手数料 | 24,000円 | なし |
| 審査期間の目安 | 約55日 | 届出後10日で営業開始可 |
ここで重要なのが**「接待」**の定義です。風営法上の接待とは、特定のお客さまに対して歓楽的雰囲気を醸し出す方法で行うサービスを指します。
具体的には、お客さまの隣に座って会話をしたり、カラオケでデュエットをしたりする行為が該当する傾向があります。一方、カウンター越しにお酒を提供するだけであれば、接待に該当しないと判断されるケースが一般的です。
詳しい接待の定義については、風俗営業等の解釈運用基準(警察庁)をご確認ください。
広島県西部でスナック開業する際の管轄窓口
広島県西部でスナックを開業する場合、営業所の所在地によって管轄の警察署と保健所が異なります。以下に主な管轄をまとめました。
<管轄警察署(風俗営業許可の申請先)>
| 営業所の所在地 | 管轄警察署 |
|---|---|
| 広島市中区 | 広島中央警察署 |
| 広島市南区 | 広島南警察署 |
| 広島市西区 | 広島西警察署 |
| 広島市佐伯区 | 佐伯警察署 |
| 廿日市市 | 廿日市警察署 |
| 大竹市 | 大竹警察署 |
| 呉市 | 呉警察署または広警察署 |
| 東広島市 | 東広島警察署 |
| 江田島市 | 江田島警察署 |
<管轄保健所(飲食店営業許可の申請先)>
広島市内でスナックを開業される場合は、広島市保健所が管轄となります。一方、廿日市市・大竹市・江田島市などで開業される場合は、広島県西部保健所が管轄となるケースが一般的です。
なお、呉市は広島県西部保健所呉支所、東広島市は広島県西部東広島保健所がそれぞれ管轄しています。詳しくは広島県の食品衛生に関するページをご確認ください。
スナック開業のための風俗営業許可の3つの要件
接待を伴うスナックを開業するには、広島県公安委員会から風俗営業1号許可を取得する必要があります。この許可には3つの要件を満たすことが求められます。
人的要件(欠格事由に該当しないこと)
申請者本人(法人の場合は役員全員)と管理者が、以下の欠格事由に該当しないことが必要です。
- 破産者で復権を得ていない方
- 1年以上の拘禁刑を受け、執行終了から5年を経過していない方
- 風営法等に違反し刑に処された方
- 暴力団構成員に該当する方
- アルコール・薬物の中毒者に該当する方
- 過去に風俗営業許可を取り消された方
このように、人的要件は申請者だけでなく管理者にも適用されるため、注意が必要です。
場所的要件(用途地域と保護対象施設の距離制限)
スナックの営業所は、どこにでも設置できるわけではありません。都市計画法の用途地域による制限があります。
<営業可能な用途地域>
- 商業地域
- 近隣商業地域
- 準工業地域
- 工業地域・工業専用地域
- 無指定地域
一方で、住居専用地域や住居地域では営業ができません。そのため、物件選びの段階で用途地域を確認しておくことが重要です。
また、広島県では保護対象施設からの距離制限も定められています。スナック(1号営業)の場合、以下の距離を確保する必要があります。
| 保護対象施設 | 商業地域 | 近隣商業地域 | その他の地域 |
|---|---|---|---|
| 学校(大学除く)・図書館・児童福祉施設 | 70m以上 | 80m以上 | 100m以上 |
| 病院・一定の診療所 | 20m以上 | 30m以上 | 50m以上 |
したがって、開業予定地の近くに学校や病院がないかを事前に調査しておくことが不可欠です。
構造的要件(店舗の構造基準)
風俗営業1号許可を取得するには、店舗が以下の構造基準を満たすことが求められます。
- 客室の床面積:1室16.5㎡以上(和室の場合は9.5㎡以上)。ただし、客室が1室のみの場合はこの制限が緩和される場合があります
- 見通し:客室内に高さ1m以上の遮蔽物(パーテーション等)を設置しないこと
- 照度:営業所内の明るさを5ルクス超に維持できる構造であること
- 施錠設備:客室の出入口に鍵を設けないこと(営業所外に直接通じるものを除く)
- 騒音・振動:広島県条例で定める基準値を超えない構造であること
特に、照度を調整できる調光器付きの照明は使用が認められない傾向があります。内装工事の前に、これらの構造基準を十分に確認しておくことをおすすめいたします。
スナック開業の申請に必要な書類一覧
風俗営業1号許可の申請には、以下の書類が必要です。広島県の場合、申請手数料は24,000円となっています。
<個人申請の場合>
| 書類名 | 備考 |
|---|---|
| 許可申請書 | 所定の様式 |
| 営業方法を記載した書面 | 営業内容の詳細 |
| 営業所の使用権原を疎明する書類 | 賃貸借契約書・登記事項証明書など |
| 営業所の平面図 | 客室・設備の配置を明記 |
| 営業所の周囲の略図 | 周囲100m程度の地図 |
| 住民票の写し | 申請者・管理者のもの |
| 身分証明書 | 本籍地の役場が発行するもの |
| 登記されていないことの証明書 | 法務局で取得 |
| 誓約書 | 欠格事由に該当しない旨 |
| 写真 | 申請者・管理者のもの |
なお、法人申請の場合は、上記に加えて定款の写しや法人の登記事項証明書、役員全員の住民票・身分証明書なども必要となる場合があります。
これらの書類は不備があると審査が遅れる可能性があるため、事前に管轄の警察署へ確認しておくと安心です。
スナック開業手続きの流れ
広島県西部でスナックを開業する場合、一般的に以下のような流れで手続きが進みます。
【ステップ1】事前調査と物件選び 用途地域の確認、保護対象施設との距離測定を行います。加えて、建築基準法上の制限も確認しておく必要があります。
【ステップ2】保健所への事前相談 飲食店営業許可の取得に向けて、管轄の保健所に事前相談を行います。店舗の設計図面を持参すると、スムーズに進めやすくなります。
【ステップ3】内装工事 構造基準を満たすよう内装工事を実施します。このとき、風営法の構造要件を踏まえた設計にすることが重要です。
【ステップ4】飲食店営業許可の申請 保健所に申請書類を提出し、施設検査を受けます。検査に合格すると許可証が交付されます。
【ステップ5】風俗営業許可の申請 管轄の警察署に必要書類を提出します。審査期間は約55日が目安となっています。
【ステップ6】許可証の交付と営業開始 審査が完了し許可が下りると、許可証が交付されます。許可証を受領してから営業を開始することが可能です。
このように、飲食店営業許可と風俗営業許可は並行して準備を進めると効率的です。ただし、風俗営業許可の審査には約2か月かかるケースが多いため、スケジュールに余裕を持つことが大切です。
スナック開業を行政書士に依頼するメリット
スナック開業の手続きは、書類の種類が多く要件も複雑です。そのため、行政書士に依頼することで以下のようなメリットが期待できます。
- 書類の不備を防げる:専門家が書類を作成するため、差し戻しのリスクを減らせる傾向があります
- 場所的要件の調査を代行:用途地域や保護対象施設の距離測定を正確に行えます
- 手続き全体をサポート:保健所・警察署・消防署との連携もスムーズに進みやすくなります
- 図面作成の対応が可能:営業所の平面図など、専門的な書類も作成してもらえます
特に、初めてスナック開業をされる方にとっては、手続きの全体像を把握しながら進められる点が大きな安心材料となります。
当事務所では、広島県西部(広島市・廿日市市・呉市・大竹市・東広島市など)でのスナック開業に関するご相談を承っております。スナック開業の手続きについて詳しくはこちらもあわせてご覧ください。
また、配偶者ビザや就労ビザなど在留資格に関するお悩みをお持ちの外国人の方がスナック開業を検討されるケースも増えています。在留資格に関する手続きについては、配偶者ビザのページや就労ビザのページもご参照ください。