「遺産分割協議書を作りたいけれど、不動産が入ると書き方が急に難しく感じる」——そんな戸惑いの声を、広島・廿日市でもよくいただきます。実は、預貯金だけならシンプルな協議書も、土地や建物が加わったとたんに、記載のルールがぐっと細かくなります。しかし、コツさえ押さえれば、登記でつまずかない書類は自分でも作れます。そこでこの記事では、不動産ありの遺産分割協議書の書き方を、見本のイメージとともに、廿日市の行政書士がわかりやすく解説します。

遺産分割協議書とは?不動産で書き方が複雑になる理由

まず、遺産分割協議書とは、相続人全員がどの財産を誰に引き継ぐかを話し合い、その合意をまとめた書面です。遺言書がない場合、この協議書がなければ、不動産の名義変更や預貯金の解約は進みません。つまり、相続手続き全体の土台となる大切な書類です。実際、相続登記や預貯金の払い戻し、相続税の申告など、さまざまな場面で提出を求められます。まず全体像をつかみたい方は、相続手続きは何から始める?もあわせてご覧ください。

なお、すべての財産の分け方を定めた有効な遺言書があれば、原則として協議書は不要です。遺言を自分で残す方法については、自筆証書遺言の書き方で詳しく取り上げています。

では、なぜ不動産が入ると書き方が複雑になるのでしょうか。理由は、土地や建物を「住所」ではなく、登記記録のとおりに正確に書く必要があるからです。ふだん郵便物などで使う住所(住居表示)と、登記上の表示は別物です。そのため、いつもの感覚で書いてしまうと、法務局で登記が受け付けられないことがあります。

不動産の遺産分割協議を考える様子のイメージ写真

遺産分割協議書の書き方【不動産ありの基本手順】

ここからは、不動産ありの遺産分割協議書の書き方を、順を追って見ていきましょう。

まず登記事項証明書を取り寄せる

はじめに用意したいのが、対象となる不動産の登記事項証明書です。これは法務局で誰でも取得でき、土地や建物の正式な表示が記載されています。一方、固定資産税の納税通知書だけを頼りにすると、私道などが抜け落ちることもあります。だからこそ、登記事項証明書で正確な内容を確認しておきましょう。なお、申請書や記載例は法務局「不動産登記の申請書様式について」でも公開されています。

土地は「所在・地番・地目・地積」で書く

次に、土地の書き方です。土地は、住所ではなく「所在・地番・地目・地積」の4項目で特定します。たとえば「廿日市市阿品台五丁目 2番22 宅地 123.45㎡」のように、地番まで正確に転記します。ここを住所で書いてしまうと、その先の登記手続きが進みません。

建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」で書く

続いて、建物の書き方です。建物の場合は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」を記します。さらに、マンションなどの区分建物では敷地権の表示が加わり、いっそう複雑になります。したがって、区分建物ほど登記事項証明書どおりの転記を心がけましょう。

不動産の記載項目を整理すると、次のとおりです。

財産の種類書くべき項目ありがちなNG
土地所在・地番・地目・地積住所(住居表示)で記載
建物所在・家屋番号・種類・構造・床面積構造や床面積の省略
マンション上記+敷地権の表示敷地権の書き漏れ

相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添える

最後に、署名と押印のルールです。遺産分割協議書には、相続人全員が署名し、それぞれが実印を押します。加えて、各自の印鑑証明書を添付します。用紙が複数枚になるときは、ページのつなぎ目に契印を押しましょう。そもそも、協議には相続人全員の参加が欠かせません。だからこそ、事前に相続人の調べ方を参考に、全員をもれなく確定しておくことが重要です。

広島でよくある不動産ありの失敗と正しい書き方

不動産が絡む協議書では、次のようなつまずきが目立ちます。

住所で書いて登記できない

もっとも多いのが、土地や建物を普段の住所で書いてしまうミスです。ところが、登記では地番や家屋番号でしか物件を特定できません。そのため、住居表示で書かれた協議書は、作り直しになりがちです。

私道や共有持分を書き漏らす

また、自宅前の私道や、持分だけを所有している土地を見落とすケースも少なくありません。もし漏れると、その部分だけ名義変更が終わらず残ってしまいます。そこで、登記事項証明書や名寄帳を使い、対象物件をもれなく洗い出しておきましょう。空き家が含まれる場合の進め方は、空き家の相続と処分でも解説しています。

分け方の書き方でつまずく

さらに、一人が不動産を取得し、ほかの相続人へお金を渡す「代償分割」も、書き方に注意が必要です。誰がいくら支払うのかを明記しないと、後日のトラブルにつながりかねません。これに対して、不動産を売って現金で分ける「換価分割」なら、その旨と分配の割合を具体的に記します。

遺産分割協議書の書き方に関するよくある質問

遺産分割協議書は自分で作れますか?

はい、相続人だけで作成することも可能です。ただし、不動産の表示や分け方の書き方を誤ると、登記や金融機関の手続きでやり直しになることがあります。そこで、少しでも不安があれば、専門家のチェックを受けると安心です。

相続税の申告期限までに間に合わせるには?

相続税がかかる場合、申告と納税は原則として10か月以内です(国税庁タックスアンサー)。協議が長引くほど、この期限は近づいてきます。したがって、早めに相続人を確定し、協議書づくりに着手することが大切です。

相続登記まで行政書士に頼めますか?

遺産分割協議書の作成や戸籍の収集は、行政書士がお手伝いできます。もっとも、法務局への相続登記の申請そのものは司法書士の業務です。そこで当事務所では、提携する司法書士や税理士と連携し、窓口をひとつにまとめてご案内します。なお、相続登記は取得を知った日から3年以内の申請が義務づけられています(法務省Q&A)。

広島・廿日市で遺産分割協議書の作成にお悩みなら

不動産ありの遺産分割協議書は、書き方のルールこそ細かいものの、要点を押さえれば確実に前へ進められます。とはいえ、物件の特定や分け方の表現は、ご自身ではなかなか判断しづらい部分です。だからこそ、早い段階で専門家に相談しておくと、登記や申告での手戻りを防げます。もし相続人の一部と連絡が取りづらい場合は、音信不通の相続人がいるもご参考ください。

行政書士江島世鉉事務所では、広島県廿日市市を中心に、遺産分割協議書の作成や戸籍収集をサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。LINEからのお問い合わせも受け付けています。

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