「税金を滞納しているけれど、建設業許可は取れるのだろうか」——資金繰りに追われる事業者から、こうしたご相談をいただくことは少なくありません。結論から言えば、税金の滞納があっても建設業許可の取得は可能です。ただし、いくつか押さえておくべき落とし穴もあります。そこで本記事では、税金滞納と建設業許可の関係、そして申請前に注意したいポイントを、広島・廿日市の行政書士がわかりやすく整理します。

税金を滞納していても建設業許可は取れる

まず結論からお伝えすると、税金の滞納そのものは建設業許可を妨げません。なぜなら、建設業法が定める「欠格要件」の中に、税金の未納という項目が含まれていないからです。つまり、滞納があるという一点だけで不許可になることは、原則としてないわけです。したがって、新規の取得はもちろん、5年ごとの更新も、滞納中に申請すること自体は認められています。とはいえ、まったく無関係というわけでもありません。実務では、後述するいくつかの注意点が申請の行方を左右します。許可の要件そのものは、国土交通省「許可の要件」でも確認できます。

税金滞納は建設業許可の「欠格要件」ではない

建設業許可には、これに当てはまると許可を受けられない「欠格要件」が定められています。具体的には、破産して復権していない、暴力団員である、一定の犯罪歴があるといった事情です。ところが、この一覧のどこにも「税金を滞納している」という条件は出てきません。だからこそ、滞納中でも許可の取得や更新ができるのです。ただし、これはあくまで「許可制度上のルール」の話にすぎません。実際の申請現場では、次に説明する納税証明書が関門になります。

申請には納税証明書の提出が必要

見落とせないのが、建設業許可の申請では納税証明書の提出が求められる点です。広島県知事許可の場合、法人なら法人事業税、個人事業主なら個人事業税の納税証明書を、県税事務所で取得して添付します。一方、国土交通大臣許可であれば、法人税や申告所得税の納税証明書を税務署で取得します。ここで問題になるのが、この証明書には納付の状況が表れるという事実です。つまり、未納があればその事実は隠せません。だからこそ、滞納は「バレないか」ではなく「どう対処するか」で考える必要があります。なお、国税の証明書の種類は国税庁「納税証明書の交付請求手続」で確認できます。

税金滞納で建設業許可を申請するときの3つの注意点

滞納中でも申請はできるとはいえ、油断は禁物です。特に、次の3つのポイントは事前に理解しておきましょう。

①都道府県によっては未納があると受け付けない

注意したいのは、取扱いが自治体ごとに異なる点です。都道府県によっては、納税証明書に未納があると申請を受け付けない、あるいは「納付してから出し直してください」と指導する運用もあります。したがって、滞納がある状態で申請を急ぐ前に、まず広島県の窓口へ確認するのが安全です。制度の案内は広島県「建設業の許可制度について」にまとめられています。

②滞納の放置は差押えで財産要件に響く

もう一つ怖いのが、滞納を放置した先にある差押えです。税金を長く滞納すると、預金や売掛金が差し押さえられることがあります。ところが、建設業許可には「自己資本500万円以上」という財産的基礎の要件があります。もし差押えで残高が削られれば、この500万円の証明が難しくなりかねません。つまり、滞納は税金だけの問題にとどまらず、許可要件そのものを揺るがすのです。財産要件に不安がある方は、自己資本500万円がないときの対処法もあわせてご覧ください。

③公共工事の入札は「税金の完納」が条件

見過ごせない違いが、公共工事の入札です。許可そのものは滞納中でも取れますが、公共工事の入札参加資格審査では話が別になります。なぜなら、公共工事の原資は税金であり、納税義務を果たしていない業者は参加資格を得られないからです。実際、入札参加の申請では、消費税や法人税、事業税などに未納がないことを証明する納税証明書が求められます。したがって、公共工事を狙うなら、滞納の解消は避けて通れません。

建設業許可の取得と公共工事の入札はどう違う

同じ「税金」といっても、許可の取得と入札参加とでは扱いがまるで違います。両者を整理すると、次のとおりです。

場面税金滞納の扱い必要な納税証明書
許可の新規取得・更新滞納中でも原則申請できる(自治体の運用に注意)事業税など(納付の状況が記載される)
公共工事の入札参加未納があると参加できない未納がないことの証明が必要

このように、民間工事のための許可はハードルが低い一方、公共工事の入札は完納が大前提です。だからこそ、目指す方向によって、滞納を解消する優先度は変わってきます。

滞納しているときの正しい進め方

では、実際に滞納があるときは、どう動けばよいのでしょうか。まずは、税務署や県税事務所へ相談し、分割納付などの計画を立てることが第一歩です。次に、建設業許可の窓口へ、現在の納付状況で申請できるかを確認します。そのうえで、行政書士など専門家と一緒に、書類の準備と納付のスケジュールを組み立てると安心です。結果として、無理のない形で許可の取得へ進めます。

よくある質問

Q. 少額の滞納でも、建設業許可は取れませんか。 いいえ、金額の大小にかかわらず、滞納があるだけで一律に不許可となるわけではありません。ただし、窓口の運用によっては納付を求められることもあるため、事前の確認をおすすめします。

Q. 分割納付の途中でも申請できますか。 はい、分割で納付を続けている状態でも、申請そのものは可能です。もっとも、自治体によって扱いが異なるので、念のため窓口に確認しておくと安心です。

Q. 消費税を滞納しています。更新に影響しますか。 更新の申請自体は、滞納中でも受け付けられるのが原則です。しかし、放置して差押えに至れば、財産要件の証明に支障が出るおそれがあります。だからこそ、早めの納付相談が肝心です。

Q. 公共工事を受注したいのですが、滞納があると無理ですか。 公共工事の入札に参加するには、税金の完納が条件になります。したがって、入札を目指すのであれば、まず滞納の解消を優先してください。

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