「建設業許可を取りたいけれど、経営業務管理責任者がいない」——こうした悩みは、建設業を営む多くの経営者が直面する壁です。しかし、令和2年の法改正によって要件は緩和され、以前より柔軟に対応できるようになりました。そこで本記事では、経営業務管理責任者が不在でも建設業許可を目指すための具体的な対処法を、広島・廿日市の行政書士がわかりやすく解説します。

経営業務管理責任者とは?建設業許可の要(かなめ)

経営業務管理責任者とは、建設業の経営を適正に行うための知識と経験を持つ責任者のことです。建設業は他の産業と異なり、工事の受注から完成まで長期にわたる資金管理や契約管理が求められます。そのため、一定の経営経験を積んだ人材を最低1人置くことが、建設業許可の要件として定められています。なお、法人であれば常勤役員のうち1人、個人であれば本人または支配人がこの要件を満たさなければなりません。いわば、会社の舵取りを担う司令塔のような存在です。

経営管理責任者のイメージ写真

経営業務管理責任者がいないとどうなるのか

経営業務管理責任者が不在のままでは、新規で建設業許可を取得することはできません。さらに深刻なのが、すでに許可を持つ会社で担当者が退職し、後任が見つからないケースです。この場合、許可の取消し対象となり、原則として30日以内に廃業届を提出しなければなりません。また、許可を失えば500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請け負えなくなり、事業の継続そのものが揺らぎます。つまり、この責任者の存在は許可の入口であると同時に、許可を維持し続けるための生命線でもあるのです。

経営業務管理責任者がいない場合の5つの対処法

経管が社内に見当たらないときでも、打つ手はいくつもあります。ここでは、実務でよく使われる代表的な5つの方法を紹介します。自社の状況に近いものから検討すると、話を進めやすくなります。

①社内で要件を満たす人を探す

まず確認したいのは、社内に経験者が埋もれていないかという点です。過去に建設会社で取締役を務めた社員や、長年経営を支えてきた人材が該当する場合があります。たとえば、建設業に関し5年以上の経営経験があれば、その人を常勤役員に据えることで要件を満たせます。

②外部から役員を招く(招聘)

社内で見つからないときは、外部から要件を満たす人を招く方法があります。具体的には、他社で5年以上取締役を務めた知人などに、役員として就任してもらうケースです。ただし、名義だけの登用は認められず、実際に常勤していることが厳しく問われます。なお、招聘には役員報酬などのコストも伴うため、条件を社内で整理してから進めると安心です。

③補佐体制で経営業務管理責任者の要件を満たす

令和2年10月の改正により、組織全体の力で要件を満たす道が開かれました。この方式では、2年以上の役員経験を持つ常勤役員に、財務管理・労務管理・業務運営をそれぞれ5年以上経験した補佐者を配置します。このように、1人で足りない経験を複数人でカバーできるようになった点は、大きな前進といえるでしょう。

④準ずる地位の経験を活用する

役員そのものでなくても、「経営業務管理責任者に準ずる地位」での経験が評価される場合があります。たとえば、執行役員や支店長として経営を管理していた経験は、5年または6年以上あれば要件に該当し得ます。もっとも、この判断は個別審査となるため、事前の確認が欠かせません。迷うときは、許可行政庁へ事前相談する手も残されています。

⑤出向を受け入れる

グループ会社や取引先から、要件を満たす人材を出向として受け入れる方法も有効です。一方で、出向者にも常勤性が求められる点には、十分に注意しましょう。加えて、指揮命令系統も審査で確認され得るため、出向契約の内容を明確にしておくことが望まれます。

経営業務管理責任者の要件を満たすうえでの注意点

どの方法を選ぶにせよ、共通して重要になるのが「常勤性」と「経験の証明」です。常勤性とは、その事業所へ休みなく通勤し、実態として勤務していることを指します。また、過去の経験を証明するには、登記事項証明書や工事請負契約書といった客観的な資料をそろえなければなりません。書類が不十分だと、たとえ実態が要件を満たしていても審査で認められないことがあります。したがって、早い段階から計画的に準備を進めることが大切です。特に、退職などで欠員が出そうなときは、早めに後任を確保しておくと安心です。詳しい要件は、国土交通省「許可の要件」の公式ページでも確認できます。

経営業務管理責任者に関するよくある質問

専任技術者と兼任できる?

結論から言うと、同一の営業所であれば原則として兼任が可能です。ただし、双方に常勤性が求められるため、別々の営業所を掛け持ちすることはできません。つまり、1人で2つの役割を担う場合でも、勤務の実態は1か所に限られる点を押さえておきましょう。

家族や親族でもなれる?

もちろん、経営経験の要件さえ満たせば、家族や親族でも問題ありません。実際に、後継者である子や配偶者を役員に据えて要件をクリアする例は数多くあります。とはいえ、経験を裏づける書類は別途必要になる点に変わりはありません。

個人時代の経験は法人化後も使える?

個人事業主としての経営経験は、法人化した後もそのまま通算できます。したがって、長年個人で建設業を営んできた実績は、そのまま大きな強みになります。証明には、確定申告書や工事の実績資料などが役立ちます。

建設業許可の全体像や必要書類をまとめて知りたい方は、あわせてこちらの関連記事もご覧ください。

経管がいない不安は広島・廿日市の行政書士へ

経営業務管理責任者の要件は複雑で、自社が該当するかどうかの判断に迷う方は少なくありません。だからこそ、専門家へ一度相談することが、遠回りに見えて最短の近道になります。行政書士江島世鉉事務所では、広島・廿日市を中心に建設業許可の申請サポートを行っています。まずはお気軽に、LINEからのお問い合わせをご利用ください。

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