「建設業許可を取りたいのに、自己資本500万円が用意できない」——このような相談は決して珍しくありません。しかし、手元に現金がなくても許可を取得できる道は、いくつも残されています。そこで本記事では、建設業許可の500万円という財産要件をクリアする方法と注意点を、広島・廿日市の行政書士がわかりやすく整理します。
なぜ建設業許可に自己資本500万円が必要なのか
建設業の許可には「財産的基礎等」と呼ばれる要件があります。工事を始めるには、資材の仕入れや職人の人件費が先に出ていきます。体力のない会社が大きな工事を請け負えば、発注者にも下請にも迷惑が及びかねません。そのため一般建設業では、自己資本500万円以上という基準が置かれているのです。つまり500万円は、意地悪なハードルではなく「工事を最後までやり切れる会社か」を測るものさしだといえます。なお、この考え方は国土交通省「許可の要件」のページにも明記されています。

自己資本500万円がなくても建設業許可は取れる|3つのルート
決算書の純資産が500万円に届かない会社でも、次のいずれかを満たせば財産要件はクリアできます。要件は「自己資本500万円以上」だけではない、という点がまず大切なポイントです。
そもそも自己資本はどこを見て判定するのか
押さえておきたいのは、自己資本が「直前の決算書」で判定されるという点です。法人なら貸借対照表の純資産合計、個人事業主なら期首資本金に事業主借勘定と事業主利益を加え、事業主貸勘定を差し引いた額がこれにあたります。ここが500万円以上であれば、追加の資料を集める必要はありません。届いていない場合に、次に説明する代替ルートを検討することになります。
①500万円以上の資金調達能力を証明する
実務でもっとも使われるのが、この方法です。純資産が500万円に満たなくても、金融機関から500万円以上を調達できる力を示せば要件を満たせます。具体的には、預金残高証明書や融資可能証明書を提出して証明します。したがって、直近の決算が赤字であっても、申請の時点で資金を用意できるなら道は開けます。あわせて、建設業許可にかかる費用の記事も予算組みの参考になるはずです。
②増資して自己資本を積み増す
法人であれば、増資という手も有力です。役員からの借入金を資本金に振り替える方法を使えば、新たな現金を用意せずに純資産を厚くできる場合もあります。ただし、登記費用や税務上の影響が生じます。だからこそ、税理士や司法書士と足並みをそろえて進めることが欠かせません。
③過去5年間の許可実績で認められる
更新や業種追加の場面では、申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業してきた実績があれば、それ自体で財産要件を満たします。営業を続けてきた事実そのものが、信用の証明になるという考え方です。一方で、新規申請ではこのルートを使えないため、混同しないよう注意しましょう。
500万円の資金調達能力はどう証明するのか
残高証明書はタイミングがすべて
資金調達能力の証明では、金融機関が発行する預金残高証明書が中心になります。この証明書には有効期間が定められており、期限が切れれば取り直しです。また、証明日と申請日の前後関係にも決まりがあり、順序を誤ると再提出になりかねません。したがって、書類一式の完成時期から逆算し、最後の仕上げとして取得するのが安全です。取扱いの詳細は広島県「建設業許可申請の手引き」で確認できます。
一時的に借りた500万円でもよいのか
親族や知人から一時的に借り入れて残高をつくる方法について、これを直接禁じる規定は建設業法にありません。もっとも、返済のあてがないまま許可だけを取っても、その後の資金繰りで苦しくなるだけです。実際に、運転資金が続かず工事の途中で手が止まってしまう例も見受けられます。無理な調達を急ぐより、事業計画そのものを見直すほうが結果的に近道になることも多いのです。
500万円がないうちに請け負える工事・請け負えない工事
許可がなくても、「軽微な建設工事」であれば請け負えます。具体的には、建築一式工事以外なら請負代金500万円未満、建築一式工事なら1,500万円未満または延べ面積150平方メートル未満の木造住宅が対象です。ただし、この金額は消費税込みで判断し、注文者が用意した材料費も含めて計算します。つまり、工事を複数に分けて1件あたりの金額を下げるという小細工は通用しません。なお、無許可で500万円以上の工事を請け負えば、建設業法違反として罰則の対象になります。
建設業許可の500万円要件でよくある質問
個人事業主でも500万円の要件は同じですか
はい、一般建設業であれば個人事業主も法人も基準は変わりません。個人の場合は、期首資本金や事業主借勘定などをもとに自己資本額を計算します。判断が難しいときは、確定申告書の控えを手元に置いて相談すると話が早く進みます。
会社ではなく個人名義の口座でも認められますか
個人事業主としての申請であれば、事業主本人名義の口座で差し支えありません。他方、法人の申請では原則として法人名義の口座が求められます。名義を取り違えたまま証明書を取ると、費用も時間も無駄になるため気をつけましょう。
500万円は毎年用意しておく必要がありますか
新規許可の時点で要件を満たしていれば、その後ずっと500万円を持ち続ける義務はありません。ただし、5年ごとの更新では改めて財産的基礎が確認されます。もっとも、更新時は「過去5年間継続して営業した実績」によって要件を満たせるため、実務上は残高証明書まで求められない場面がほとんどです。
資本金を500万円にすれば確実に通りますか
資本金と自己資本は別物なので、そこは切り分けて考える必要があります。たとえば資本金500万円の会社でも、累積赤字で純資産が300万円まで減っていれば要件を満たしません。判定はあくまで純資産合計であり、登記簿上の資本金の額ではないと覚えておきましょう。
なお、経営業務管理責任者の要件に不安がある方は、経営業務管理責任者がいない場合の対処法もあわせてご覧ください。
建設業許可の資金要件でお悩みなら広島・廿日市の行政書士へ
自己資本500万円がないという理由だけで、建設業許可をあきらめる必要はありません。要件の組み立て方しだいで、道が開けるケースは数多くあります。行政書士江島世鉉事務所では、広島・廿日市を中心に建設業許可の申請サポートを行っています。まずはお気軽に、LINEからのお問い合わせをご利用ください。