「自分で書いた遺言書が、いざというときに無効にならないだろうか」——そんな不安を抱える方は少なくありません。実は、自筆証書遺言は手軽に作れる一方で、書き方のルールを一つでも外すと、その全体が無効になってしまうおそれがあります。しかし、正しい書き方さえ押さえれば、費用をかけずに有効な遺言を残せます。そこでこの記事では、自筆証書遺言の正しい書き方と、広島でよくある無効パターン・対策を、廿日市の行政書士がわかりやすく解説します。

自筆証書遺言とは?公正証書遺言との違い

まず、遺言書の種類を整理しておきましょう。遺言には主に、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。前者は、紙とペンと印鑑さえあれば、いつでも一人で作れる手軽さが魅力です。一方で、方式のルールが細かく定められており、その分だけ無効になりやすいという弱点もあります。

これに対して公正証書遺言は、公証人が関与するため方式の不備が起きにくく、原本も公証役場に保管されます。ただし、作成には費用と証人が必要です。なお、遺言書とエンディングノートは役割が異なります。両者の違いはエンディングノートの書き方でも解説しています。

自筆証書遺言各イメージ写真

自筆証書遺言の正しい書き方【5つの基本ルール】

それでは、自筆証書遺言の正しい書き方を具体的に見ていきましょう。民法968条は、次の5つのルールを守るよう求めています(条文はe-Gov法令検索の民法で確認できます)。ここを外すと無効になりかねないため、一つずつ押さえてください。

1.本文は全文を自分の手で書く

もっとも大切なのが、遺言の本文をすべて自分の手で書くことです。したがって、パソコンで打った本文や、家族が代筆した遺言は、原則として無効になります。加えて、録音や動画で残したメッセージも、法律上の遺言としては認められません。

2.日付は「年月日」まで正確に書く

次に、日付は暦の上で特定できる形で書きます。たとえば「令和8年8月吉日」のような書き方は、具体的な日を特定できないため無効とされています。そこで、「令和8年8月24日」のように、年・月・日をきちんと記しましょう。

3.氏名を書いて押印する

続いて、遺言者本人の氏名を自書し、そのうえで印を押します。印鑑は認印や拇印でも有効ですが、実印を用いておくとより確実です。

4.財産目録はパソコンで作ってもよい

実は、2019年の法改正によって、財産目録に限ってはパソコン作成や通帳コピーの添付が認められました。ただし、目録の各ページに署名押印をしなければならず、これを忘れるとその目録は無効になります(詳しくは法務省の解説)。

5.書き間違いは決められた方式で訂正する

最後に、訂正のルールにも注意が必要です。書き間違いを直すときは、変更した場所を示し、変更した旨を付記して署名し、その箇所に押印します。この手順を守らないと、訂正そのものが無効になってしまいます。つまり、二重線で消して書き直すだけでは足りないのです。

書き方のポイントを整理すると、次のとおりです。

項目正しい書き方やりがちなNG
本文全文を手書きパソコン・代筆
日付令和8年8月24日令和8年8月吉日
署名・押印自書したうえで押印押印忘れ
財産目録パソコン可+各ページに署名押印署名押印の忘れ
訂正民法所定の方式で訂正二重線で消すだけ

広島でよくある遺言書の無効パターンと対策

ここからは、広島の相続の現場でよく見かける無効パターンと、その対策を紹介します。

夫婦連名で書いてしまう

たとえば、仲のよいご夫婦が一枚の紙に連名で遺言を書くケースがあります。ところが、2人以上が同じ用紙で作る「共同遺言」は法律で禁じられており、無効です。そのため、遺言書は必ず一人ひとり別々の用紙で作成してください。

内容があいまいで財産を特定できない

また、「財産は家族で仲よく分けること」といった書き方も要注意です。誰に何を渡すのかが特定できないと、結局は相続人どうしの話し合いが必要になり、争いの火種になりかねません。だからこそ、不動産は登記事項のとおりに、預貯金は金融機関名・支店名・口座番号まで具体的に書きましょう。

遺留分を無視してトラブルになる

さらに、方式は正しくても、内容が原因でもめることがあります。兄弟姉妹を除く相続人には、最低限の取り分である「遺留分」が保障されているためです。一人に全財産を集中させると、遺留分をめぐる請求が起きがちです。そこで、書き始める前に、誰が相続人になるのかを確認しておくと安心です。相続人の範囲は相続人の調べ方で確認できます。

なお、これら以外の無効例については遺言書が無効になるケースでも詳しく取り上げています。

書いた遺言を無効にしない2つの安心策

正しく書けたか自信がない方のために、無効を防ぐ心強い方法が2つあります。

法務局の保管制度を利用する

一つ目は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」です。この制度を使うと、遺言書保管官が民法の定める形式に合っているかを外形的にチェックしてくれます。しかも、原本と画像データが保管されるため、紛失や改ざんの心配もありません。加えて、相続開始後の家庭裁判所での検認も不要になります。手数料は遺言書1通につき3,900円で、制度の詳細は法務省の案内で確認できます。ただし、この外形チェックは形式面にとどまり、内容の有効性まで保証するものではない点に注意しましょう。

専門家に内容を確認してもらう

二つ目は、作成前に行政書士などの専門家へ相談することです。というのも、保管制度ではカバーできない「内容の適否」まで含めて、要件のチェックや文案づくりを任せられるからです。結果として、方式と内容の両面から無効を防げます。

自筆証書遺言の書き方に関するよくある質問

パソコンで作成した遺言書は有効ですか?

本文をパソコンで作成した遺言は、原則として無効です。ただし、添付する財産目録に限っては、パソコンでの作成が認められています。その場合も、各ページへの署名押印を忘れないでください。

印鑑は実印でなければいけませんか?

いいえ、認印や拇印でも有効とされています。もっとも、後の争いを避けたいなら、実印を用いておくほうが確実です。

遺言書は封筒に入れる必要がありますか?

封入は法律上の必須要件ではありません。しかし、封をして保管すれば、改ざんや紛失を防ぎやすくなります。なお、封をした自筆証書遺言は、家庭裁判所の検認まで開封してはいけない点に注意が必要です。

広島・廿日市で遺言書の書き方にお悩みなら

自筆証書遺言は、正しい書き方さえ押さえれば、費用をかけずに大切な想いを残せます。とはいえ、方式の不備や内容のあいまいさは、自分ではなかなか気づきにくいものです。だからこそ、元気なうちに専門家のチェックを受けておくことが、確実な相続への近道になります。まず何から進めるか迷ったら、相続手続きは何から始める?もあわせてご覧ください。

行政書士江島世鉉事務所では、広島県廿日市市を中心に、遺言書の作成をサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。LINEからのお問い合わせも受け付けています。

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