「公正証書遺言を残したいけれど、いったいいくらかかるのだろう」——広島で終活を始めた方から、よくいただくご質問です。実際、公証役場のしくみや証人の手配は、はじめて調べる方にはわかりにくいものです。しかも公証人手数料は令和7年10月に改定されており、古い金額の情報が今も多く出回っています。そこでこの記事では、公正証書遺言の費用の内訳と計算方法、広島県内の公証役場、証人2名の手配までを、廿日市の行政書士がわかりやすく解説します。

公正証書遺言の費用は3つに分かれる

まず、費用の全体像をつかみましょう。公正証書遺言にかかるお金は、大きく次の3つに分かれます。

費目内容目安
①公証人手数料政令で全国一律に決まった料金数万円〜(財産額による)
②証人2名の謝礼立ち会う証人へ支払う費用1人あたり数千円程度
③専門家への報酬原案作成や書類収集を依頼した場合事務所により異なる

このうち①は法律で決まっているため、値引きも上乗せもありません。一方、②と③は誰に頼むかによって変わります。つまり、総額を左右するのは「財産の額」と「どこまで自分でやるか」の2点だといえます。なお、公証制度そのものの位置づけは、法務省「公証制度について」でも説明されています。

公正証書遺言を確認する様子のイメージ

公証人手数料の計算方法【令和7年10月に改定】

財産をもらう人ごとに計算して合算する

公証人手数料でつまずきやすいのが、計算の順番です。実は、財産の総額をそのまま料金表に当てはめるわけではありません。相続または遺贈を受ける人ごとに受け取る価額を出し、それぞれを表に当てはめて合算するしくみです。

たとえば3,000万円を、妻に2,000万円、長男に1,000万円と分けるとします。この場合は「2,000万円分」と「1,000万円分」を別々に計算するわけです。ここを取り違えると、見積もりは大きくずれてしまいます。

目的の価額ごとの手数料早見表

具体的な金額は、e-Gov法令検索「公証人手数料令」の別表に定められています。令和7年10月1日の改定後は、次のとおりです。

受け取る財産の価額手数料
50万円以下3,000円
50万円超〜100万円以下5,000円
100万円超〜200万円以下7,000円
200万円超〜500万円以下13,000円
500万円超〜1,000万円以下20,000円
1,000万円超〜3,000万円以下26,000円
3,000万円超〜5,000万円以下33,000円
5,000万円超〜1億円以下49,000円

1億円を超える部分については、超過額5,000万円までごとに一定額を加算する方式になります。

遺言加算と正本・謄本の費用を忘れずに

さらに、遺言ならではの上乗せがあります。遺言の目的の価額が1億円以下のときは、上の手数料に13,000円が加算されます。これがいわゆる「遺言加算」です。加えて、正本と謄本の交付に1枚300円がかかり、合わせて2,000〜4,000円ほどみておくと安心です。

広島での費用シミュレーション

では、実際の金額を見てみましょう。廿日市市にお住まいで、自宅と預貯金を合わせて3,000万円の財産がある方のケースです。

分け方計算公証人手数料
全額を妻へ26,000円+遺言加算13,000円39,000円
妻2,000万円・長男1,000万円26,000円+20,000円+13,000円59,000円
子2人へ1,500万円ずつ26,000円×2+13,000円65,000円

ご覧のとおり、同じ3,000万円でも、分ける人数が増えるほど手数料は上がります。ここに正本・謄本代を足すと、3,000万円クラスなら4万〜7万円前後が目安です。ちなみに1億円の財産を3人で分けるケースでも、10万円弱におさまることがほとんどです。

家族と公正証書遺言の確認をするイメージ

病院や施設で作る場合はいくら増える?

体調を崩し、公証役場まで足を運べないこともあります。その場合、公証人に出張してもらう方法が使えます。ただし、費用は次のように上乗せされます。

  • 病床で作成したとき:手数料が5割加算(遺言加算などを除いた額が基準)
  • 日当:1日につき2万円(4時間以内なら1万円)
  • 交通費:実費

したがって、入院先での作成では2万〜4万円ほど増えるとお考えください。もっとも、遺言は判断能力があるうちにしか残せません。ご家族の認知症が心配な方は、親が認知症で相続手続きができないもあわせてご覧ください。

ウェブ会議での作成もできるようになりました

令和7年10月1日から、公正証書に関する一連の手続はデジタル化されました。嘱託人が希望し、公証人が相当と認めるときは、ウェブ会議を利用した作成も可能です(法務省「公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化について」)。ただし、運用は役場ごとに異なります。利用を考えている方は、事前に電話で確認しておきましょう。

広島の公証役場一覧|廿日市からはどこへ行く?

次に、手続きの場所を確認します。広島県内の公証役場は、次の6か所です。

役場名所在地電話
広島公証人合同役場広島市中区中町7-41 三栄ビル9階082-247-7277
東広島公証役場東広島市西条西本町28-6 サンスクエア東広島4階082-422-3733
呉公証役場呉市中央3-1-26 第一ビル3階0823-21-2938
尾道公証役場尾道市新浜2-5-27 大宝ビル5階0848-22-3712
福山公証役場福山市若松町10-7 若松ビル3階084-925-1487
三次公証人役場三次市十日市南1-4-110824-62-3381

廿日市市・大竹市・広島市西部にお住まいの方は、広島公証人合同役場が最寄りです。最新の所在地や連絡先は、広島法務局「公証役場一覧」でご確認ください。ちなみに、遺言を作る役場に管轄の制限はありません。全国どこの公証役場でも依頼できます。

公正証書遺言を作る手順は4ステップ

ステップ1:財産と相続人を確定して書類を集める

はじめに、誰に何を残すのかを整理します。必要書類は、遺言者の印鑑登録証明書、戸籍謄本、財産をもらう人の住民票、不動産の登記事項証明書と固定資産評価証明書、通帳の写しなどです。とりわけ相続人の範囲は、思い込みで判断すると危険です。戸籍のたどり方は相続人の調べ方で詳しく解説しています。

ステップ2:公証人と原案を打ち合わせる

書類がそろったら、公証役場に連絡して打ち合わせを予約します。原案のやり取りは、2回から3回ほど行うのが一般的です。相談を始めてから作成日までは、2週間から1か月程度みておくとよいでしょう。

ステップ3:証人2名を手配する

民法969条は、公正証書遺言に証人2人以上の立会いを求めています。しかも、民法974条により、次の方は証人になれません。

  • 未成年者
  • 推定相続人・受遺者、およびその配偶者と直系血族
  • 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人

つまり、配偶者やお子さんなど、財産を受け取る予定の方は証人になれないということです。そのため、利害関係のない友人や専門家に依頼することになります。役場によっては証人を紹介してもらえますが、その場合は1人あたり数千円程度の謝礼が必要です。条文の詳細はe-Gov法令検索の民法で確認できます。

ステップ4:当日、公証役場で作成する

作成当日は、遺言者と証人2名が同席します。公証人が遺言の内容を読み聞かせ、間違いがなければ全員が署名押印します。所要時間は30分から1時間ほどです。原本は公証役場に保管され、ご本人は正本と謄本を持ち帰ります。手数料は、この日に現金で納めるのが通例です。

自筆証書遺言と比べて費用は高い?

比較項目公正証書遺言自筆証書遺言(法務局保管)
費用数万円〜1通3,900円
作成する人公証人本人がすべて自書
無効になるリスク低い方式不備のおそれあり
家庭裁判所の検認不要不要(保管制度の利用時)
証人2名必要不要

金額だけを比べれば、自筆証書遺言書保管制度の3,900円が安く済みます。しかし、保管制度でチェックされるのは形式の外形だけで、内容の有効性までは保証されません。その点、公正証書遺言なら公証人が方式と内容の両面を確認します。結果として争いになりにくく、家庭裁判所の検認も不要です。

自分で書く方法を知りたい方は、自筆証書遺言の書き方をご覧ください。あわせて遺言書が無効になるケースも確認しておくと、判断の材料が増えます。

よくある質問

費用は誰が払うのですか

原則として、遺言者ご本人が負担します。支払いは作成当日、公証役場の窓口で行うのが一般的です。

一度作った遺言を書き直せますか

はい、何度でも作り直せます。ただし、そのたびに手数料があらためて発生します。だからこそ、最初の段階で内容をよく練っておくことが、結果的に節約につながります。

財産の評価額はどう出しますか

不動産は固定資産評価証明書の価額、預貯金は残高が基準になります。なお、相続税がかかるかどうかは別問題であり、税額の計算は税理士の担当分野です。

広島・廿日市で公正証書遺言をお考えなら

公正証書遺言の費用は、財産の額と分け方でほぼ決まります。3,000万円前後のご家庭なら、公証人手数料は4万〜7万円ほどが目安です。とはいえ、評価額の出し方や証人の手配は、ご自身では判断しづらいところでしょう。だからこそ、早めに専門家へ相談しておくと、余計な手戻りを防げます。まず何から進めるか迷ったら、相続手続きは何から始める?もあわせてご覧ください。

行政書士江島世鉉事務所では、広島県廿日市市を中心に、財産と相続人の調査から原案作成、公証役場との打ち合わせ、証人の手配までサポートしています。まずはお気軽にご相談ください。LINEからのお問い合わせも受け付けています。

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